昨日、自民党総裁選挙がおこなわれ、決選投票の結果「安倍晋三総裁」が誕生しました。
第1回投票は一位の石破茂氏が199票(議員票34票/党員票165票)、ニ位の安倍晋三候補141票(議員票54票/党員票87票)でしたがどちらも過半数を確保することができず、議員のみによって行われる決選投票に移行。
決選投票では安倍晋三が108票、石破茂氏が89票と、19票差で安倍晋三新総裁選出ということになりました。
第一回投票では党員票でダブルスコア近い差をつけられた安倍氏ですが、石橋との議員票差をほぼ守り切った逆転勝利でした。
この展開は非常に予測しづらい・・・というか、これほどまでに石原伸晃氏(議員票58票/党員票38票)が弱いとは思いませんでした。
まあ、例の失言がかなり尾を引いたことと、背後に父親の石原慎太郎の影を見て尖閣の問題に強い姿勢を望んだ人たちの期待を裏切ったことが大きな痛手だったことは想像に難くありません。
安倍氏は近年経済に対してかなり意識をしており、積極的に情報を求める姿勢が窺えました。
以前、経済に関する情勢と日本のも抱える問題点についてご説明させていただいた折には、日本の抱える問題はデフレと若年者雇用と所得の減少であり、この状況を打破するためにはデフレ脱却と経済成長の促進が重要である旨お話ししたところ、強い関心を示されておりました。
今回の「6つの全力」の筆頭にデフレ脱却と成長戦略重視の姿勢を打ち出したのも理解できます。
これまでは「プライマリーバランスが」とか「財政均衡を崩さずにデフレ脱却と景気回復」とか「国債の暴落を食い止めるために云々」といった過程と目標を逆転させたような話ばかり聞こえてきた政治の世界からの情報に比べ、ほんの少しですが風向きが変わりつつあるような感を受けます。
まだ細部の煮詰めが十分でない点は否めませんが、今後目標と過程を取り違えず、「これまでと違った手法」を「非難を恐れず大胆に」実行できれば日本経済復活の可能性も出てくるでしょうし、十分な経済成長政策とそれに伴う戦略的投資が実行できれば、世界経済への波及効果も大きなものとなるでしょう。
ただ、新総裁への選出は喜ばしいものの、日本再生を考えるとまだスタートラインにつく前の段階です。
安倍新総裁は党員票で石破氏にダブルスコアに近い差をつけられていて、その石破氏は党員票の過半数を超える票を獲得しています。
党員票はある意味、各地方組織の意向を強く反映しているといえ、それはとりもなおさず「次の選挙は石破氏で戦いたい」という地方の意向ともいえます。
この意思表示を議員による決選投票でひっくり返したのですから、新総裁の最初の重要な仕事は「地方の説得」であると言えるでしょう。
それから、立候補〜決選投票までの過程を考えると、党内融和にも細心の注意を払わねばなりません。
こういった点は一朝一夕に解決しない問題ですので、新執行部にとってかなりの重荷になると思われます。
また、安倍総裁は前回の総理大臣辞任の経緯等もあり、マスコミからみれば極めて叩きやすい格好の標的といえます。
残念ながら、この点において自民党には十分な対マスコミ戦略能力を有しておらず、バッシングの嵐が巻き起こる可能性があります。
この嵐から総裁を守ることができ、かつマスコミを味方に引き込むことが出来るかが今後の自民党にとっての大きな課題と言えるでしょう。
こういった意味では、安倍新総裁という選択は「日本にとっては福音となる可能性を秘め」ていても、自民党にとっては「茨の道」になるかもしれません。
安倍さん、総裁就任おめでとうございます。
これからのご活躍に期待しております。