まず、投票で世の中が変るってのは、「投票行動で逆転現象が起こせる」という事と言い替えられます。
そして、逆転現象(というか圧倒的大勝)でどれだけの票が動いたのかを見れば、世の中を変えるのに必要な選挙の票が見えてきます。
衆議院の小選挙区制が導入され、現在の定数(480人)になってから、今回までに下記の4回の衆院選が行われています。
2000年 神の国解散選挙(自民勝利)この4回の衆院選挙で、政権交代選挙と小泉郵政選挙が俗に言う『大きな風の吹いた選挙』です。
2003年 自民党定年制導入選挙(自民勝利)
2005年 小泉郵政選挙(自民大勝)
2009年 政権交代選挙(民主大勝)
それぞれの選挙での自民・民主それぞれの得票率は以下の通り。
2000年 自民 36.22%、民主 26.70%、自民と民主の得票差 9.52%得票率は小選挙区と比例の議席数に応じて補正を掛けた数値で、小選挙区の得票率と若干ずれます。
2003年 自民 40.52%、民主 36.93%、自民と民主の得票差 3.58%
2005年 自民 44.17%、民主 34.45%、自民と民主の得票差 9.73%
2009年 自民 34.20%、民主 45.55%、自民と民主の得票差 11.35%
得票率は投票総数に占める得票の割合ですので、有権者数に占める割合ではありません。
上の数字を見ると、風が吹いた選挙では勝ち負けの差はおよそ9〜11%位だという事が分かります。
2000年も票差が9.52%と大勝に近い格差があるのですが、このときは保守党や自由党がある程度の票を持っていった為、結果として大勝にならず、逆に自民も議席を減らす事になりました。
これらを考慮すると、およそ11%の得票がまとまって動くことで大勝が発生することが分かります。
つまり、大勝させるには11%に相当する票を勝つ側に上乗せすればよく、大勝させない為には逆風下でも11%に相当する票を負けそうな側に載せれば僅差の勝負が出来る事になります。
この得票率は「投票者数に占める割合」ですので、上記の結果からは労働組合や宗教票を持っている政党にとって投票率が下がることが有利に働くという側面も見てとれます。
さて、実際に風を起こして世の中を変えるにはどのくらいの人数が必要なのでしょうか?
近年の有権者数はおよそ1億人前後で推移していますので、便宜上各選挙の有権者数は1億人とします。
2000年 投票率 64.45%、 得票差 9.52%、 推定人数 約614万人大体、650〜800万人程度が「風」を起こしていると言えます。
2003年 投票率 59.86%、 得票差 3.58%、 推定人数 約214万人
2005年 投票率 67.51%、 得票差 9.73%、 推定人数 約657万人
2009年 投票率 69.28%、 得票差 11.35%、 推定人数 約786万人
では、若者にはどれくらいの「風」候補票が眠っているのでしょう。
2012年の世代別有権者比率は以下の通りです。
20代 12.92%年金世代(60歳以上)は全有権者の38.6%を占めており、確かに世間で言うように「高齢者に有利」である事は間違いではありません。
30代 16.85%
40代 16.62%
50代 15.00%
60代 17.55%
70代 12.79%
80代以上 8.26%
一方、若者(20〜30代)は29.77%と高齢者に比べてかなり少ないと言えます。
これだけ見ていると“やっぱり若者が世の中変えるなんて…”といった風に見えてしまうかもしれません。
しかし、実はそれは大きな読み間違いです。
高齢者の投票率は軒並み8〜9割です。
つまり、高齢者の投票とは現在の投票結果を作り出している「固定票」に近い存在なのです。
高齢者に残された余剰票は殆どなく、これ以上世の中の流れを変える力はありません。
一方、若者の最近の「推定未投票者数」は以下の通りです。
2000年 20代 約797万人、 30代 約728万人、 合計 約1524万人「風」に必要な650〜800万人を遥かに超える未投票者数が存在しています。
2003年 20代 約832万人、 30代 約830万人、 合計 約1662万人
2005年 20代 約695万人、 30代 約678万人、 合計 約1373万人
2009年 20代 約653万人、 30代 約609万人、 合計 約1262万人
この票は「これまで存在していなかった未知の票」です。
まさに風を起こすことが出来る票と言えます。
政権交代選挙と郵政選挙の投票率が大体7割弱、若者の投票率と平均投票率との乖離は、20代で2割前後、30代で1割弱です。
仮に20代30代の投票率が“全体の投票率と同じ(=2割程度上昇)”になったら、約400万票弱が選挙の現場に追加されることになります。
これが負けた勢力に加わるだけで圧勝はなくなり僅差の勝利となりますし、優勢の勢力に流れれば圧勝を引き起こします。
若者の投票率がほんの少しだけ増加し、投票率が平均レベルになっただけで、若者の投票は働組合や宗教団体に匹敵する影響力を持てるのです。
これだけ見ても“投票に行っても世の中に影響を与えられない”という意見が嘘であることが分かります。
もうちょっと大きな事を言えば、投票に行ってない若い人達の『半分ちょっと』が投票に行くだけで、郵政選挙や政権交代選挙で起ったあの雪崩現象が発生します。
たった半分ちょっとが行くだけ・・・世の中変えるって実は案外遠い話ではなかったりします。
「半分ちょっと」を具体的に言うなら、20代投票率が3〜4割程度、30代が5〜6割ですから、いつも投票に行ってる20代の人が投票に行かない友人を一人連れて行って、いつも投票に行っている30代人の2人に1人が投票に行かない友人を一人を投票に連れて行けば、世の中が変るという事です。
世の中を変える為に説得しなきゃいけない友人の数はたった一人…ね、簡単でしょ。
若い人が世の中を変えるのは決して不可能ではありません、それどころか案外簡単にできるのです。
なので、若い人は投票に行かない友人を誘って選挙に行きましょう。
特に女の子は是非「選挙に行かずに斜に構えていることが格好いいと思っている男の子」を誘ってあげて下さいw
そうすると、いろいろ捗り・・・もとい、きっと世の中変りますから(^^)
ラベル:選挙