2011年02月05日

環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)私訳 『第2章 一般的定義』

先日のエントリーに書いたとおり、TPPメインアグリーメントの私訳文を公開します。
今後の公開は必要に応じて行いますので順不同になると思います。
また、各章の分量も多いので、場合によっては章を分割して公開する場合も御座いますのでご了承下さい。

注)この訳文は当ブログ独自で行ったものです。
   著作権は放棄しませんが、非商用のみ自由引用とします。
   引用する場合、トラブル防止の為必ず出典を明記して下さい。






環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)『第2章 一般的定義


■第1条 一般に適用する定義

この協定において、別段の規定がない限り、

「協定」とは、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)を意味する。

「APEC」とは、アジア太平洋経済協力会議を意味する。

「委員会」とは、第17章第1条(環太平洋戦略的経済連携委員会の設置)に基づいて設置される環太平洋戦略的経済連携委員会を意味する。

「税関」とは、関税法、法令及び政策の執行に、加盟国の法律に基づき責任を負う所轄官庁であり、

 (a) ブルネイ・ダルサラーム国に関しては、関税消費税庁を意味する。

 (b) チリに関しては、チリ関税局を意味する。

 (c) ニュージーランドに関しては、ニュージーランド関税局を意味する。

 (d) シンガポールに関しては、シンガポール税関を意味する。

「関税」には、産品の輸入に関連して課せられるあらゆる種類の関税又は課税金、そして当該輸入に関連して課すあらゆる付加税又は追徴税が含まれる。ただし、以下の事項は含まれない。

 (a) 1994年のGATTと矛盾せず課せられる内国税に相当する課税金
     (消費税や物品サービス税を含む。)

 (b) 手数料又は他の課税金のうち、
   (@) 提供されるサービスの概算費用を限度とするもの。
   (A) 国産品の直接的又は間接的保護、あるいは財政目的の輸入品に対する課税を表さないもの。

 (c) 「補助金及び相殺措置に関するWTO協定」「1994年のGATT第6条の実施に関するWTO協定」
     及び1994年のGATT第6条の規定に矛盾せず適用されるダンピング防止税又は相殺関税。

「関税評価協定」とは、WTO協定の一部である「1994年の関税及び貿易に関する一般協定第7条の実施に関する協定」を意味する。

「日」とは、カレンダー上の日にちを意味する。

「企業」とは、法人、会社、協会、合名会社、トラスト(企業合同)、合弁企業、個人事業体又は適用法に基づいて構成もしくは設立されるその他の事業体を意味する。その事業体の設立が営利目的かどうか、私有か又は別の方法で所有されているのか、あるいは有限責任での設立か無限責任での設立であるかどうかは関係がない。

「加盟国の企業」とは、加盟国の法に基づき構成又は設立される企業を意味する。

「現行」とは、加盟国にとってこの協定の効力発生日に有効であることを意味する。

「GATS」とは、WTO協定の一部である「サービスの貿易に関する一般協定」を意味する。

「1994年のGATT」とは、WTO協定の一部である「1994年の関税および貿易に関する一般協定」を意味する。

「加盟国の産品」とは、1994年のGATTで解釈される国産製品、又は加盟国団が合意できるような産品を意味し、加盟国の原産品が含まれる。

「産品」と「製品」は、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、同じ意味を持つと解する。

「国際統一商品分類(HS)」とは、各自の関税法において加盟国が採択及び実施する、「世界税関機構」施行の「産品の名称及び分類についての統一システム」(解釈に関する通則、章注釈及び節注釈を含む)を意味する。

「項」とは、国際統一商品分類に基づいた関税分類における最初の4桁を意味する。

「措置」には、あらゆる法、規制、手続、要件又は慣行が含まれる。

「国民」とは、第2章付属書Aに準拠した加盟国の国籍を持つ自然人、もしくは加盟国の永住者を意味する。

「原産」とは、第4章(原産地規則)に示す原産地規則に基づいた資格を得ていることを意味する。

「人」とは、自然人または企業を意味する。

「加盟国の人」とは、加盟国の国民または企業を意味する。

「生産者」とは、栽培、育成、採掘、収穫、漁獲、捕獲、採取、収集、飼育、抽出、猟獲、製造、加工、構築、または解体を行う人を意味する。

「特恵関税待遇」とは、付属書Tに示す加盟国団各自の関税撤廃スケジュールに準拠した、原産品に適用される通関料を意味する。

「セーフガード協定」とは、WTO協定の一部である「セーフガードに関する協定」を意味する。

「号」とは、国際統一商品分類に基づいた関税分類における最初の6桁を意味する。

「領域」とは、加盟国にとって第2章付属書Aに示すその加盟国の領域を意味する。

「WTO」とは、世界貿易機関を意味する。

「WTO協定」とは、1994年4月15日に締結された「世界貿易機関を設立するマラケシュ協定」を意味する。



■付属書A 各国ごとの定義

この協定において、別段の規定がない限り、

「加盟国の国籍を持つ自然人」とは、

 (a) ブルネイ・ダルサラーム国に関しては、ブルネイ法に従い国家元首スルタン国王陛下の臣民を
    意味する。

 (b) チリに関しては、チリ憲法第10条に定めるチリ人を意味する。

 (c) ニュージーランドに関しては、時折改正される、1977年の市民権法、又は後継の法律が定める
    公民を意味する。

 (d) シンガポールに関しては、憲法及び国内法が意味する範囲内の公民であるあらゆる人を意味する。


「領域」とは、

 (a) ブルネイ・ダルサラームに関しては、同国の領域と、ブルネイ・ダルサラームが国際法と同国の
    法律に従い主権的権利または領有権を行使できる範囲の同国の海岸に隣接する沿岸地域を
    意味する。

 (b) チリに関しては、同国の主権下の陸・海・空域と、国際法及び国内法に従い同国がその内側におい
    て主権的権利と領有権を行使する排他的経済水域及び大陸棚を意味する。

 (c) ニュージーランドに関しては、同国の領域と、国際法に従い天然資源に関して同国が主権的権利を
    行使する排他的経済水域、海底及び下層土を意味する。ただし、トケラウは含まれない。

 (d) シンガポールに関しては、同国の陸地、内水及び領海に加えて、シンガポールがその内側において
    海、海底、下層土及び天然資源に関して主権的権利または領有権を行使できる区域として、
    国際法に従い、同国の国内法に基づき指定されており、将来においても指定されているだろう領海上
    に位置する沿岸地域を意味する。



posted by FumiHawk at 20:00| Comment(1) | TrackBack(0) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
いつも情報ありがとうございます。
「TPPが日本を壊す」早く読みたいです。
明日の午前中にNHKで放送の「日曜討論」のテーマがTPPのようですね。きちんと事実を踏まえた討論してくれれば良いのですが、
農業問題だけに終始して終わりなんて事にならないような議論をして欲しいですね。
Posted by ya at 2011年02月05日 20:47
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック
×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。