2011年02月09日

環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)私訳 『第4章 原産地規則』

先日のエントリーに書いたとおり、TPPメインアグリーメントの私訳文を公開します。
今後の公開は必要に応じて行いますので順不同になると思います。
また、各章の分量も多いので、場合によっては章を分割して公開する場合も御座いますのでご了承下さい。

注)この訳文は当ブログ独自で行ったものです。
   著作権は放棄しませんが、非商用のみ自由引用とします。
   引用する場合、トラブル防止の為必ず出典を明記して下さい。






環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)『第4章 原産地規則


■第1条 定義

 この章において、

「養殖」とは、生産を高めるための飼育過程または成長過程での介入(例:定期的な放流、給餌又は捕食者からの保護)による種苗(例:卵、子、幼魚及び幼生)からの水生生物(魚類、軟体動物、甲殻類、その他の水生無脊椎動物及び水生植物を含む)の飼育を意味する。

「CIF」とは、輸入国の通関手続き地までの運賃及び保険料を含む輸入品の価格を意味する。査定は関税評価協定に従って行われる。

「FOB」とは、輸送方法とは関係なく、外国の最終的な船積港又は船積場所で本船渡しされる産品の価格を意味する。査定は関税評価協定に従って行われる。

「加盟国の完全生産品」とは、以下の事物を意味する。

 (a) 加盟国の領域において土壌又は海底から抽出された鉱産品。

 (b) 加盟国の領域において育ち収穫、採取又は収集された農産物及び植物性生産品。

 (c) 加盟国の領域において生まれ育った、生きている動物。

 (d) 加盟国の領域における生きている動物から得られた産品。

 (e) 加盟国の領域において狩猟、罠による捕獲、漁獲、飼育、採集、捕獲又は養殖から得られた産品。

 (f) 1982年の「国連海洋法条約」の規定に従い適用される加盟国の法に基づき、領海又は領海の海側
    の加盟国の関係海域の内側で、当該加盟国の旗を掲げる、もしくは掲げる資格がある船舶により取
    られた産品(魚類、貝類、植物と他の海洋生命体)、又は加盟国に登録または記録されその旗を掲
    げる船舶により公海から取られた当該産品。

 (g) 当該加盟国に登録又は記録されその国の旗を掲げる工船上で、(f)に述べる製品からのみ、獲得又
    は生産された産品。

 (h) 加盟国の領域における生産から得られた廃棄物及びくず、もしくは加盟国の領域において収集され
    た使用済みの品物又は産品。ただし、当該産品が原材料の回収にしか適さないことが条件である。

 (i) 1982年の「国連海洋法条約」の規定に従い、加盟国、又は加盟国の人により、当該加盟国の領海
    又は大陸棚の下の海底もしくは下層土から得られた産品。

 (j) 加盟国の領域において使用済みの産品から得られ、加盟国の領域において再生品の生産に利用さ
    れる回収品。

 (k) 生産の如何なる段階でも、加盟国の領域において(a)から(j)で言及する産品又はその派生品のみ
    から完全に生産された産品。

「間接材料」とは、産品の生産、試験又は検査に用いられるが、物理的に組み込まれていないもの、あるいは産品の生産に関連する建築物の維持又は設備の稼動に用いられるものを意味し、次のものを含む。

 (a) 燃料、エネルギー、触媒及び溶媒。

 (b) 産品の試験や検査に使用されるもの、装置、及び設備

 (c) 手袋、眼鏡、履物、衣類、安全のための設備など。

 (d) 工具、ダイス及び鋳型。

 (e) 設備及び建築物の維持に使用される予備部品並びに器具。

 (f) 生産に使用される、又は設備及び建築物を稼動させるために使用される潤滑剤、グリース、コンパウ
    ンド材及びその他の材料。

 (g) 産品には組み込まれていないが、産品の生産におけるその使用が当該生産の一部であると合理的
    に証明できるその他のもの。

「材料」とは、産品の生産又は異なる産品の変成に使用又は消費される産品や物質を意味する。

「最小限の作業又は加工工程」とは、産品の本質的特性に最小限の寄与しかせず、それそのもの、あるいは組み合わせが原産地を付与することとならない作業や加工工程を意味する。

「船積み用の梱包材料及び梱包容器」小売用の容器及び包装材以外の、輸送中産品を守るために使用される産品を意味する。

「生産」とは、産品の栽培、育成、採掘、収穫、漁獲、飼育、罠による捕獲、狩猟、捕獲、養殖、採集、収集、品種改良、抽出、製造、加工、組立又は分解を含むが、それに限らない産品を得る方法を意味する。

「回収品」とは、以下の作業から生じる個々の部品の形をした材料を意味する。

 (a) 使用済みの産品の、個々の部品への完全な分解。

 (b) 当該部品を他の部品(第4章付属書Aに列挙する再生品の生産における他の回収品を含む)と組み
    合わせるための、洗浄、検査、もしくは当該部品の試験又はその他の加工、そして必要に応じて、
    適切な動作状態の改善のための一つ以上の次の加工工程:溶接、フレーム溶射、表面機械加工、
    刻み付け、メッキ、袖付け及び巻き戻し。

「再生品」とは、第4章付属書Aに列挙する加盟国の領域で組み立てられた工業製品であり、以下の様態を備えるものを意味する。

 (a) 完全に、もしくは部分的に回収品で構成されている。

 (b) 新品と同等の平均寿命を持ち、新品と同等の性能基準を達成している。そして、

 (c) 新品同様の工場の保証を享受する。

「取引額」とは、関税評価協定の規定により決定される、産品に支払われる代価、もしくは支払われるべき代価を意味する。

「使用済みの」とは、産品の生産において使用又は消費されたことを意味する

「価格」とは、関税評価協定の規定に準拠した、産品又は材料の価格を意味する。



■第2条 原産品

 この章に別段の指定がない限り、次の場合、産品は加盟国の原産と見なす。

 (a) 第4章第1条の定義に従い、産品がいずれかの加盟国の領域において完全に生産される、あるいは
    全て獲得されるとき。

 (b) 産品が、その原産地が本章の規定と適合する材料だけから、一つ以上の加盟国の領域において完
    全に生産されるとき。

 (c) 産品が、関税分類変更基準、域内原産割合、または付属書Uに規定する他の要件に適合する非原
    産材料を使用して、一つ以上の加盟国領域で生産され、その産品が本章のその他の適用規定を満
    たすとき。



■第3条 域内原産割合

1 付属書Uが域内原産割合に言及する場合、各加盟国は、産品の域内原産割合は次の手法に基づいて計算されると規定する。

RVC=(TV−VNM)÷TV×100

RVCとは、パーセンテージで表す域内原産割合である。

TVとは、3に規定されている場合を除き、FOBベースで調整される、産品の取引額である。もしも当該価格が存在しないあるいは決定できないならば、関税評価協定第1条の原則に従い、関税評価協定第2条から第7条の原則に準拠して計算される。そして、

VNMとは、4に規定されている場合を除き、CIFベースで調整される、最初に取得された、あるいは産品の生産者に提供されたときの、非原産材料の取引額である。もしも当該価格が存在しないあるいは決定できないならば、関税評価協定第1条の原則に従い、関税評価協定に準拠して計算される。

2 産品の生産において生産者が使用する非原産材料の価格には、1に従って、域内原産割合を計算する目的では、後に産品の生産に使用される原産材料を生産するために用いられる非原産材料の価格は含まれない。

3 産品の生産者が直接産品を輸出しない時、価格は生産者がいる加盟国の領域内で購入者が産品を受け取る位置までで調整される。

4 産品の生産者がその位置する加盟国の領域で非原産材料を手に入れるとき、当該材料の価格には、運賃、保険料、梱包代及び、供給者の倉庫から生産者の所在地までの材料の輸送において生じるその他の費用は含まれない。



■第4条 原産地を付与することとならない作業

原産地を付与することとならない最低限の作業又は加工工程には、次の作業が含まれる。

 (a) 輸送と保管の間、良好な状態での製品の保存を確実にするための作業(例:乾燥、冷凍、換気、
    冷蔵及び類似の作業。)

 (b) 移動、分類、洗浄、切断、細長の切断、曲げ、巻きつけ、もしくは巻き解きから成る単純作業。

 (c) 委託品の梱包の変更、解体、組立。

 (d) 梱包、開封又は再梱包作業。

 (e) 製品又はその包装上の、マーク、ラベルあるいはその他の類似の識別記号の貼付。

 (f) 産品の特性を物質的に変更しない、水又は他の物質による単なる希釈。



■第5条 累積

 加盟国いずれかの原産品又は材料で、別の加盟国の領域における産品の生産に使用されるものは、後者の加盟国の領域における原産と見なす。



■第6条 僅少

付属書Uの規定に従った、関税分類変更基準に適合しない産品は、もしも関税分類変更基準の要件を満たしていない生産に使用される全ての非原産材料の価格が、第4章第3条に従い先述の産品の取引額の10%を超えず、産品が本章のその他全ての適用基準を満たしているならば、原産とみなす。



■第7条 付属品、予備部品及び工具

1 標準的付属品、予備部品、又は工具の一部として産品が備わっている通常の付属品、予備部品又は
  工具は原産品とみなし、原産品の生産に使用される全ての非原産材料が、適用される関税分類変更
  基準を経ているかどうかの決定において無視する。
  ただし、条件として、

 (a) 付属品、予備部品、又は工具が産品とは別に分類され、別々には送り状を作成されないこと。

 (b) 当該付属品、予備部品、又は工具の量と価格が、産品にとって通常のものであること。

2 もし産品が域内原産割合の要件に従うなら、付属品、予備部品、又は工具の価格は、産品の域内原産
  割合の計算において、場合に応じて原産材料か非原産材料として考慮される。



■第8条 小売用の包装材料及び包装容器

小売用に産品を包む包装材料及び包装容器は、もし産品に分類されるなら、当該産品の生産に使用される全ての非原産材料が、付属書Uに示す適用される関税分類変更基準を受けるどうかの決定において無視する。しかしながら、もし産品が域内原産割合の要件に従うなら、小売用の包装材の価格は、産品の域内原産割合の計算において、場合に応じて原産か非原産として数えることになる。



■第9条 船積み用の梱包材料及び梱包容器

 輸送のためにのみ産品を包む梱包材料及び梱包容器は、産品が原産であるかどうかの確認目的では考慮しない。



■第10条 間接材料

 間接材料は生産地を問わず原産材料とみなし、その価格は産品の生産者の会計記録に記載される費用とする。



■第11条 非加盟国の通過

1 本協定に規定されている特恵関税待遇は、本章の要件を満たし、加盟国間で直接輸送される産品に
  適用される。

2 1に関わらず、産品は、非加盟国を通過すること、並びに第三非加盟国への産品の入国日から決して
  六ヶ月を超えない合理的な期間保管され続けることが認められている。

3 もしも産品が一国以上の非加盟国の領域を通して輸送されるなら、産品は本協定に従って特恵関税待
  遇の資格がある。ただし、条件として産品が、

 (a) 荷降ろし、再積み込み、あるいは産品を良好な状態に保つために必要なその他の作業以外の作業
    を受けないこと。並びに

 (b) 加盟国からの船積み後及び別の加盟国への輸入前に当該非加盟国との商取引に入らないこと。

4 2及び3に示す規定の遵守は、輸入国の税関当局への、商業上の船積書類又は運送書類を含む、第
  三国の通関書類又は所轄官庁の文書の提供によって証明される。



■第12条 受動的加工貿易

1 第4章第2条の関連規定及び付属書Uに示す製品固有の要件に関わらず、第4章付属書Bに列挙する
  産品は、たとえ加盟国から輸出され後に加盟国に逆輸入される材料に関して加盟国の領域外で作業工
  程又は生産工程を経ていようとも原産と見なす。ただし、条件として、

 (a) 2に示す非原産材料の総額が、原産資格を求める最終生産物の関税課税価格の55%を超えない
    こと。

 (b) 加盟国から輸出される材料が、加盟国において完全に獲得又は生産されているか、加盟国の領域
    外に輸出される前に、第4章第4条における最小限の加工工程又は作業の範囲を越える作業工程
    又は生産工程を経ていること。

 (c) 輸出材料の生産者が、原産資格を求める最終生産物の生産者と同一であること。

 (d) 逆輸入品が、輸出材料に対する生産工程又は作業工程を通じて獲得されていること。

 (e) 産品の製造の最終工程が加盟国の領域で行われ、この工程が産品をその構成部品又は材料から
    異なる産品に最終的に変える、産品に関して着手される最終活動であり、新しい産品がそこに製造
    されること。

2 1(a)において、非原産材料の総額は、加盟国で加えられる非原産材料の価格のみならず、加えられる
  あらゆる材料の価格及び加盟国の領域外で蓄積される他の全ての費用(輸送費を含む)である。

3 確実を期すと、第4章第16条で言及する確認手続は、本条の正当な適用を確実にするために適用す
  る。当該手続は、輸出国の税関を通した輸入国の税関からの書面による要求の受理に応じた、輸出
  側税関又は輸出者による情報提供及び文書作成の支援(原産材料の輸出と、原産品としてその後輸
  出される産品のそれに続く逆輸入に関係するものを含む)を含む。

4 加盟国の要請に応じて、第4章付属書Bの製品リストをは委員会により改訂できる。



■第13条 特恵を求める産品の待遇

1 加盟国は、輸入者が特恵関税待遇を求めるその他の加盟国から輸入される産品に関する、輸出送り状
  に付く原産地に関する申告書(申告書)か、原産地証明書のどちらかを受け取ることができる。

2 輸出者又は生産者は、そのいずれも特恵関税待遇を求める産品に関する原産地の証拠として輸入者
  がその後利用できる、輸出送り状に付く原産地に関する申告書か原産地証明書のどちらを使用するか
  選択できる。

3 申告書又は原産地証明書は、場合に応じて輸出者か生産者が記入する。
  申告書又は原産地証明書は、

 (a) そこに列挙する産品が輸出国の原産であり、本章の条件を満たすと規定する。

 (b) 一つ以上の産品に関して作成され、様々な産品を含むことが出来る。

 (c) 英語で記入される。

4 原産地に関する申告書が添付され、申告書を前提とした産品に関する輸出送り状は、次の事項を含む

 (a) 詳細な説明。

 (b) 6桁の国際統一商品分類番号。

 (c) わかるならば、生産者の氏名。

 (d) わかるならば、輸入品に関する輸入者の氏名。

5 もし輸出送り状に4で言及する情報が含まれていなければ、第4章付属書Cに示す形式の原産地に関
  する申告書上の「Observations(意見)」に加えなければならない。

6 申告書は第4章付属書Cに示す形式であり、原産地証明書は第4章付属書Dに示す形式である。
  これらの要件はその後、加盟国間で合意する実施協定により改訂もしくは変更され得る。

7 申告書及び原産地証明書は、それぞれの文書が提出された日から2年間有効である。

8 もしも輸出者が申告書上又は原産地証明書上で言及される産品の生産者でないならば、その輸出者
  は以下の事項に基づいて申告書に記入及び署名できる。

 (a) 産品に原産品としての資格があるかどうかの輸出者の知識。

 (b) 産品に原産品としての資格があり本章の条件を満たすという生産者の書面による申告。

9 8(b)の如何なる規定も、産品の輸出者ではない生産者に、申告書の作成をする、又は原産地証明書
  に記入するように要求するとは解釈されない。

10 産品の通関手続きにおいて輸入国の税関に提出される輸出送り状又は原産地証明書に記載される
   言い回しと詳細な記述の間の些細な食い違い、それ自体は、特恵関税待遇の要求が否認される原
   因とはならない。

11 本協定の効力発生に先立って出される産品の通関手続きで提示される申告書又は原産地証明書
   は、もしも本協定の効力発生日かその後に提示されるならば、そこに指示する産品の原産地に関
   する証拠として受理される。

12 輸入国の税関は、以下の事例に限り、国内法に従って、別の加盟国の産品に特恵関税待遇を
   与える。

 (a) 輸入者が本条の規定に従って税関に申告書又は原産地証明書を提出する。又は、

 (b) 輸入者が産品に求められる特恵関税待遇を立証するための、十分な文書の、又はその他の証拠を
    提出する。

13 加盟国団は、国内法に従って、輸入者が、輸入時に産品が本章の条件を達成でき、そのために特恵
   関税待遇の資格があると主張するが、申告書又は原産地証明書あるいは12に規定するその他の
   証拠を提出することができなかった場合、輸入者は、国内法に従うか輸入の日から1年以内に、以下
   の事項の提示があった場合には、特恵関税待遇を認められていない産品の結果として支払われる
   過度の関税の払い戻しを申請できると規定する。

 (a) 産品に原産品としての資格があるとする申告書又は原産地証明書。

 (b) 関税特恵の主張に満足のいく証明をするために税関が要求できるその他の証拠。

14 輸入国は、以下に述べる場合には、関税特恵に従って産品の入国を認めるために申告書又は原産地
   証明書を求めることはできない。

 (a) 関税課税価格が、1000US$又は加盟国の通貨で同額もしくは加盟国が定めることができるそれよ
    りも高い金額を超えない場合。

 (b) 特定の産品に関して、加盟国がこのような証拠の要求を放棄している場合。

15 14に従って、輸入品が、本条の原産地要件を回避する目的で請け負われている又は手配されている
   と合理的に見なすことができる一連の輸入品の一部を形成する場合は、輸入国の税関は関税特恵待
   遇を否認できる。



■第14条 輸出に関する義務

1 輸出者又は生産者が、誤った、又は事実に反する申告書や原産地証明書、あるいはその他のこのよう
  な誤った、又は事実に反する証拠を提出していることに気づいた場合、輸出者又は生産者は、輸入国
  及び輸出国の税関、それに加え輸入者に、申告書又は原産地証明書の正確性あるいは有効性に影響
  を与える可能性のあるあらゆる変更について、可能な限り早く通知する。

2 申告書又は原産地証明書を提出している輸出者又は生産者は、要求に応じて輸出国の税関に当該
  文書のコピーを提出する。

3 輸出に関して、各加盟国は、自国の領域の輸出者又は生産者により税関に提出される原産地に関わる
  虚偽の申告書、証明書、又は証拠書類に罰則を与える。



■第15条 記録

 各加盟国は、各自の領域における生産者、輸出者及び輸入者に、場合に応じて輸出か輸入の日から3年間以上、関税特恵を求められた産品に特恵関税待遇の資格があることを証明するために必要な、輸出又は輸入に関わる全ての記録を保持するよう求める。



■第16条 原産地の確認

1 加盟国の領域へ別の加盟国の領域から輸入された産品に原産品としての資格を与えるかどうかを決定
  するために、輸入国は、自国の税関を通して、以下の方法によって関税特恵の要求を確認できる。

 (a) 輸入者に宛てた書面による情報の請求。

 (b) 輸出国の税関を通した輸出国の領域の輸出者又は生産者に宛てた書面による質問又及び情報の
    請求。

 (c) 輸出国の税関に対する産品の原産地確認の要求。

 (d) 加盟国団の税関が合意可能なその他の手続。

2 もしも1で設定する仕組みで産品の原産地を決定することができなければ、輸入国は、輸出国の税関を
  通して、以下に述べる目的のために、輸出国の領域の輸出者又は生産者の店舗を訪問するよう要求
  できる。

 (a) 原産地に関する記録を審査するため。

 (b) 産品の生産に使用される設備を観察するため。

3 要請国は、自国の税関を通して、

 (a) 輸出国の税関への要請が、要請の根拠として十分に実質的であり、特定の産品及び産品の輸出者
    又は生産者を識別するために十分な情報が伴うように努める。

 (b) 質問又は要請に十分に応えるために、書面による質問又は要請が輸出者もしくは生産者に送られ
    た日から60日間を条件として指定する。

4 加盟国団は、要請の受理から10日間以内に本条に基づく税関を通した支援要請に答えることに合意
  する。



■第17条 原産地の決定

1 もし、輸出者又は生産者に対する質問又は訪問の結果として、要請国が、質問又は訪問が行われた
  産品が本章の規定に従った  原産品であると納得すれば、要請国は当該産品に優先的アクセスを
  許可する。

2 特恵関税待遇は、以下に述べる場合には否認され得る。

 (a) 産品が本章の要件を満たしていない又は満たさなかった場合。

 (b) 輸出者又は生産者が、輸入国の税関による質問に、輸入国の要請日から60日以内、又は輸入国
    の税関が指定するその他の延長期間(しかし、追加の30日間を超えない)に、十分に返答できない
    場合。

 (c) 要請を受けた税関が、如何なる理由であれ、産品の原産地を確認するという輸入国の税関からの
    要請に応じることができず、要請側税関に要求に応じられないことを知らせる場合又は、90日以内
    に要請に応じない場合。

 (d) 輸出者又は生産者が30日以内に輸入国の税関による訪問に合意しない場合。

3 特恵関税待遇が否認される場合、輸入国は、自国の税関が書面で輸出者、場合に応じて輸入者か
  生産者に、当該決定の詳細な理由を提供する。

4 加盟国による確認が、加盟国の領域に輸入される産品に原産品としての資格があるとする虚偽の陳述
  又は無根拠な陳述という輸出者又は生産者の行為のパターンを示す場合、加盟国は、輸出者又は生
  産者がもうこれ以上原産地に関する虚偽の陳述又は無根拠な陳述をしていないと納得するまで、この
  ような人により輸出又は生産される同一の産品に対する特恵関税待遇を保留できる。



■第18条 発生費用

1 確認要請への対応に関する通常の費用は、以下の対象が負担することとなる。

 (a) 被要請国。又は、

 (b) その他の加盟国の領域の輸出者か生産者を訪問する加盟国。

2 費用の決定において莫大な費用又は疑惑が発生する場合、加盟国間の相互の合意により解決される。



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