今後の公開は必要に応じて行いますので順不同になると思います。
また、各章の分量も多いので、場合によっては章を分割して公開する場合も御座いますのでご了承下さい。
注)この訳文は当ブログ独自で行ったものです。
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【 環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)『第10章 知的財産』 】
■第1条 定義
この章において、
・TRIPS協定 TRIPS Agreement
は、WTO協定の一部である「知的所有権の貿易関連の側面に関する協定」を意味する。
・知的財産 Intellectual property
は、TRIPS協定の第二部の第一節から第七節の主題である知的財産の全分類を表す。つまり、著作
権及び関連する権利・商標・地理的表示・工業意匠・特許・集積回路の回路配置・未公開情報の保護
である。(この章において、「知的財産」は、植物多様性の保護も含む)
■第2条 知的財産原則
1 加盟国団は、経済的・社会的発展の促進における、特にデジタル社会と技術革新、そして貿易での、
知的財産の重要性を認識する。
2 加盟国団は、保護対象に関して、社会及び利用者の正当な利益と権利者の権利の間でバランスを取る
ことの必要性を認識する。
3 加盟国団は、次のことを追求する知的所有権の管理体制と制度の維持に尽力する。それは、
(a) 思想・技術・創造的作品の普及を通して、国家間取引及び経済的・社会的発展を円滑にすること。
(b) 知的財産の権利者と利用者のために、知的所有権の保護と行使に関する確実性を提供すること。
(c) 特に知的所有権を侵害する産品の貿易を排除することを目的として、知的所有権の行使を容易に
すること。
■第3条 一般的規定
1 加盟国団は、TRIPS協定と、彼らが参加している、知的財産に関係するその他の多国間協定に
基づき、お互いに対して、その既存の義務と権利を支持する。この目標に向かって、この章のなに
ものも、TRIPS協定又は他の多国間の知的財産協定に基づき、加盟国団がお互いに対して持つ
既存の権利と義務を損なわない。
2 当該措置がこの協定と一致することを条件に、この章のなにものも、権利者による知的所有権の乱用、
又は不当に貿易を制限したり、技術の国家間移転に悪影響を及ぼすような方法に訴えることを阻止
するための適切な措置を、加盟国が採択することを阻害しない。特に、この章のなにものも、知的所有
権の乱用から起こるだろう反競争的慣行を阻止するために必要な措置を、加盟国が採択することを阻
害しない。
3 各加盟国の国際的義務を前提とし、加盟国団は、自身らに以下のことが可能であると確約する。
それは、
(a) 知的所有権の国際消尽を規定すること。
(b) 標準形式の、契約交渉なき製品用ライセンスの規定は、消費者が、国内の知的財産法に認めら
れる制限及び例外を行使することを阻害しないと定めること。
(c) 技術的措置が適用されている場合に許された行為の実行を容易にする規定を定めること。そして、
(d) 伝統的知識を保護するための適切な措置を定めること。
4 加盟国団は、著作権に関する世界知的所有権機関条約(WCT)と、実演及びレコードに関する世界
知的所有権条約(WPPT)に従うレコード製作者及び著作権保有者に、公衆送信権と複製権を認め
る。加盟国団は、TRIPS協定に従って実演者の権利を定める。加盟国団は、文学的及び美術的著
作物の保護に関するベルヌ条約・TRIPS協定・WCT・WPPTに基づいて、適用可能な制限及び例
外を国内法に設けることができる。これらの規定は、デジタル環境において適切な、新規の例外や
制限を考案することを、加盟国に許可するよう理解される。
5 TRIPS協定に基づく義務を前提に、各加盟国は、他の加盟国の実演者・レコード製作者・放送機関の
権利を、その人々が他の加盟国の管轄内で認められている権利まで制限できる。
■第4条 商標
1 各加盟国は、利害関係者に、商標の適用に反対し、登録済み商標の取消しを要請する機会を与える。
2 商標に関して、加盟国団は、「標章の登録のための商品及びサービスの国際分類に関するニース協定
(1976)」の分類に従い、産品及びサービスを分類するよう奨励される。
■第5条 地理的表示
1 第10章附属書Aに列挙する表現は、TRIPS協定第22条(1)の意義の範囲内で、加盟国各自のぶど
う酒及び蒸留酒のための地理的表示として認識される。国内法を前提とし、TRIPS協定と一致する方
法で、当該表現は、その他の加盟国の領域で、地理的表示として保護される。
(より確かにすると、加盟国団は、その地理的表示が、各自の国内法に示される諸条件によって、又そ
れらに準じて許される範囲でのみ、ブルネイ・ダルサラーム、チリ、ニュージーランド、そしてシンガ
ポールで承認され、保護されるということを認める)
2 加盟国の要請に応じて、委員会は、第10章附属書Aからの地理的表示の削除又は追加を決定
できる。
■第6条 国名
加盟国団は、産品との関連で加盟国の国名が、当該産品の原産地について消費者を誤認させるような方法で商業利用されることを防ぐための法的手段を、利害関係者に提供する。
■第7条 協力
加盟国団は、第10章第2条に示す原則に従って、協力することに合意する。当該協力に含めることができるのは、特に、
(a) 知的所有権の行使のための連絡窓口の通知。
(b) 各自の外庁の知的財産に関する政策の進展に関する情報交換。当該進展は、デジタル著作権
管理情報の適切な保護に関する措置の履行と、著作権法に基づく適切な制限及び例外の履行を
含むことができるが、これらに限らない。
(c) 知的所有権の効率的な登録を促すことを目的とした、知的所有権制度の履行に関する情報交換。
(d) 執行機関や教育機関及び知的所有権の分野に関心を持つその他の組織を含む、各自の外庁の
間の連絡と協力の発展の促進。
(e) 多国間地域フォーラムでの、知的財産に関する新たな取組みについての政策対話。
(f) 知的所有権と制度の認知を促すための適切な取組みに関する協力と情報交換。そして、
(g) 加盟国間で相互に決定できる他の活動及び取組み。
■補遺A 地理的表示のリスト
■第1条 定義
この章において、
・TRIPS協定 TRIPS Agreement
は、WTO協定の一部である「知的所有権の貿易関連の側面に関する協定」を意味する。
・知的財産 Intellectual property
は、TRIPS協定の第二部の第一節から第七節の主題である知的財産の全分類を表す。つまり、著作
権及び関連する権利・商標・地理的表示・工業意匠・特許・集積回路の回路配置・未公開情報の保護
である。(この章において、「知的財産」は、植物多様性の保護も含む)
■第2条 知的財産原則
1 加盟国団は、経済的・社会的発展の促進における、特にデジタル社会と技術革新、そして貿易での、
知的財産の重要性を認識する。
2 加盟国団は、保護対象に関して、社会及び利用者の正当な利益と権利者の権利の間でバランスを取る
ことの必要性を認識する。
3 加盟国団は、次のことを追求する知的所有権の管理体制と制度の維持に尽力する。それは、
(a) 思想・技術・創造的作品の普及を通して、国家間取引及び経済的・社会的発展を円滑にすること。
(b) 知的財産の権利者と利用者のために、知的所有権の保護と行使に関する確実性を提供すること。
(c) 特に知的所有権を侵害する産品の貿易を排除することを目的として、知的所有権の行使を容易に
すること。
■第3条 一般的規定
1 加盟国団は、TRIPS協定と、彼らが参加している、知的財産に関係するその他の多国間協定に
基づき、お互いに対して、その既存の義務と権利を支持する。この目標に向かって、この章のなに
ものも、TRIPS協定又は他の多国間の知的財産協定に基づき、加盟国団がお互いに対して持つ
既存の権利と義務を損なわない。
2 当該措置がこの協定と一致することを条件に、この章のなにものも、権利者による知的所有権の乱用、
又は不当に貿易を制限したり、技術の国家間移転に悪影響を及ぼすような方法に訴えることを阻止
するための適切な措置を、加盟国が採択することを阻害しない。特に、この章のなにものも、知的所有
権の乱用から起こるだろう反競争的慣行を阻止するために必要な措置を、加盟国が採択することを阻
害しない。
3 各加盟国の国際的義務を前提とし、加盟国団は、自身らに以下のことが可能であると確約する。
それは、
(a) 知的所有権の国際消尽を規定すること。
(b) 標準形式の、契約交渉なき製品用ライセンスの規定は、消費者が、国内の知的財産法に認めら
れる制限及び例外を行使することを阻害しないと定めること。
(c) 技術的措置が適用されている場合に許された行為の実行を容易にする規定を定めること。そして、
(d) 伝統的知識を保護するための適切な措置を定めること。
4 加盟国団は、著作権に関する世界知的所有権機関条約(WCT)と、実演及びレコードに関する世界
知的所有権条約(WPPT)に従うレコード製作者及び著作権保有者に、公衆送信権と複製権を認め
る。加盟国団は、TRIPS協定に従って実演者の権利を定める。加盟国団は、文学的及び美術的著
作物の保護に関するベルヌ条約・TRIPS協定・WCT・WPPTに基づいて、適用可能な制限及び例
外を国内法に設けることができる。これらの規定は、デジタル環境において適切な、新規の例外や
制限を考案することを、加盟国に許可するよう理解される。
5 TRIPS協定に基づく義務を前提に、各加盟国は、他の加盟国の実演者・レコード製作者・放送機関の
権利を、その人々が他の加盟国の管轄内で認められている権利まで制限できる。
■第4条 商標
1 各加盟国は、利害関係者に、商標の適用に反対し、登録済み商標の取消しを要請する機会を与える。
2 商標に関して、加盟国団は、「標章の登録のための商品及びサービスの国際分類に関するニース協定
(1976)」の分類に従い、産品及びサービスを分類するよう奨励される。
■第5条 地理的表示
1 第10章附属書Aに列挙する表現は、TRIPS協定第22条(1)の意義の範囲内で、加盟国各自のぶど
う酒及び蒸留酒のための地理的表示として認識される。国内法を前提とし、TRIPS協定と一致する方
法で、当該表現は、その他の加盟国の領域で、地理的表示として保護される。
(より確かにすると、加盟国団は、その地理的表示が、各自の国内法に示される諸条件によって、又そ
れらに準じて許される範囲でのみ、ブルネイ・ダルサラーム、チリ、ニュージーランド、そしてシンガ
ポールで承認され、保護されるということを認める)
2 加盟国の要請に応じて、委員会は、第10章附属書Aからの地理的表示の削除又は追加を決定
できる。
■第6条 国名
加盟国団は、産品との関連で加盟国の国名が、当該産品の原産地について消費者を誤認させるような方法で商業利用されることを防ぐための法的手段を、利害関係者に提供する。
■第7条 協力
加盟国団は、第10章第2条に示す原則に従って、協力することに合意する。当該協力に含めることができるのは、特に、
(a) 知的所有権の行使のための連絡窓口の通知。
(b) 各自の外庁の知的財産に関する政策の進展に関する情報交換。当該進展は、デジタル著作権
管理情報の適切な保護に関する措置の履行と、著作権法に基づく適切な制限及び例外の履行を
含むことができるが、これらに限らない。
(c) 知的所有権の効率的な登録を促すことを目的とした、知的所有権制度の履行に関する情報交換。
(d) 執行機関や教育機関及び知的所有権の分野に関心を持つその他の組織を含む、各自の外庁の
間の連絡と協力の発展の促進。
(e) 多国間地域フォーラムでの、知的財産に関する新たな取組みについての政策対話。
(f) 知的所有権と制度の認知を促すための適切な取組みに関する協力と情報交換。そして、
(g) 加盟国間で相互に決定できる他の活動及び取組み。
■補遺A 地理的表示のリスト
チリの地理的表示のリスト
原産地呼称名(ワイン)
Valle de Aconcagua
Alhue
Valle del Bio Bio
Buin
Valle del Cachapoal
Valle de Casablanca
Cauquenes
Chillan
Chimbarongo
Valle del Choapa
Coelemu
Valle de Colchagua
Valle de Copiapo
Valle de Curico
Region de Aconcagua
Region de Atacama
Region de Coquimbo
Valle del Claro
Region del Sur
Region del Valle Central
Valle del Elqui
Valle del Huasco
Illapel
Isla de Maipo
Valle del Itata
Valle de Leyda
Valle del Limari
Linares
Valle del Loncomilla
Valle del Lontue
Lolol
Valle del Maipo
Maria Pinto
Valle del Marga-Marga
Valle del Maule
Marchigue
Valle del Malleco
Melipilla
Molina
Monte Patria
Mulchen
Nancagua
Ovalle
Paiguano
Pajarete
Palmilla
Panquehue
Parral
Pencahue
Peralillo
Peumo
Pirque
Portezuelo
Puente Alto
Punitaqui
Quillon
Rancagua
Valle del Rapel
Rauco
Rengo
Requinoa
Rio Hurtado
Romeral
Sagrada Familia
Valle de San Antonio
San Juan
Salamanca
San Clemente
San Fernando
San Javier
San Rafael
Santa Cruz
Santiago
Talagante
Talca
Valle del Teno
Valle delTutuven
Traiguen
Vicuna
Villa Alegre
Vino Asoleado
Yumbel
原産地呼称名(蒸留酒)/国
Pisco/チリ