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また、各章の分量も多いので、場合によっては章を分割して公開する場合も御座いますのでご了承下さい。
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【 環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)『第5章 税関手続』 】
■第1条 定義
この章において、
「関税法」とは、加盟国の税関によって施行、適用又は執行される法律を意味する。
「関税法違反」とは、関税法違反又は違反未遂を意味する。
「税関手続」とは、税関の統制に従って、各加盟国の税関当局によって商品に適用される処理を意味する。
■第2条 目的
この協定における本章の目的は、
(a) 加盟国の関税法及びその他の税関の管理上の施策の適用における予測可能性、一貫性
及び透明性を確かにすること。
(b) 効率的で無駄のない税関手続の施行、及び産品の迅速な通関手続きを確かにすること。
(c) 加盟国間の貿易を円滑にすること。
(d) 簡易化した税関手続を適用すること。そして、
(e) 税関の間の協力を促進することである。
■第3条 範囲
この章は、各加盟国それぞれの国際的義務及び関税法に従い、加盟国間で取引される産品に適用される税関手続に対して適用する。
■第4条 関税手続及び円滑化
1 加盟国の税関手続は、可能であれば、各自の関税法が許す範囲で、「世界税関機構」の規格
及び推奨手順(「税関手続の簡易化及び調和に関する国際規約」の原則を含む)に従う。
2 各加盟国は、自国の税関手続及び手順が、予測可能で、一貫して、透明性があるように努め、
貿易を円滑にする。
3 加盟国の税関は、税関手続の更なる簡易化と貿易を円滑にするための相互に有益な取決めの
策定を目的として、税関手続を定期的に審査する。
■第5条 関税協力
1 国内法が許す範囲で、加盟国の税関は、以下の事項に関する情報の提供によって、原産品に関して、
当該税関が妥当と見なすとおりに、互いに支援できる。
(a) 本章の履行及び運用。
(b) 加盟国間の産品の移動。
(c) “一見したところでの”関税法違反の調査と防止。
(d) 税関の最良慣行及び危機管理手法の策定と実行。
(e) 税関手続の簡易化及び迅速化。
(f) 技能の向上と科学技術の利用。
(g) 関税評価協定の適用。そして、
(h) その他の事項に関する追加支援。
2 この章に従い別の加盟国に情報を提供する加盟国が情報を機密として指定する場合、その他の加盟
国は情報の機密性を保持する。
■第6条 関税評価
加盟国団は、1994年のGATT第7条の規定及び関税評価協定に従い、加盟国間で取引される産品の関税課税価格を決定する。
■第7条 事前教示
1 各加盟国は、自国の税関を通して、2(a)で説明する人に対して、関税分類と産品の原産地及び、
産品が第3章第5条(修復及び手直しの後に再入国した産品)に従い無関税入国の資格があるか
どうかに関する事前教示(これ以降“事前教示”として言及する)を書面で提出する。
2 各加盟国は、事前教示のための手続を採択又は維持する。その事前教示は、
(a) 自国の領域の輸入者又は別の加盟国の領域の輸出者又は生産者が、問題の産品の輸入前に
事前教示を申請できることを定める。
(b) 事前教示の申請者が産品の詳細な説明と事前教示を出すために必要な全ての関連情報を
提出することを要求する。
(c) その国の税関が、事前教示を出す過程でいつでも、申請者に規定の期間内に追加情報を
提供するよう要求できることを定める。
(d) 事前教示は申請者が提示する事実と状況及び決定権者が保有するその他の関連情報に
基づくと定める。そして、
(e) 事前教示が迅速に、又は如何なる場合でも全ての必要な情報の受領から60日以内に、
申請者に出されると定める。
3 2(c)に従って加盟国が要求する追加情報が規定の時間内に提供されない場合、加盟国は事前教示の
要求を拒否できる。
4 5を前提として、各加盟国は、当該教示の日から3年以内、又はその加盟国の法律が求めるその他の
期間以内に自国の領域に輸入される当該教示で説明する全ての産品の輸入に対して事前教示を
適用する。
5 加盟国は、もしも本協定と合致する国内法に変更があるか、重要な事実又は事前教示の基になる
状況に変化があるならば、提供された情報が誤り又は不正確である、事前教示が事実誤認又は
法の誤りに基づいていたという決定の上で、事前教示を改訂又は無効にできる。
6 加盟国の国内法の機密保持要件を前提とし、各加盟国は自国の事前教示を公開する。
7 輸入される産品に与えられる待遇は事前の教示に準拠するべきだと輸入者が主張する場合、税関は、
輸入に関する事実と状況が、事前の教示が基にした事実と状況と合致するかどうか審査できる。
8 輸入国は、第5章第12条に規定する措置を適用できる。
■第8条 審査及び上訴
1 各加盟国は、自国の領域の輸入者が以下の審査を利用できるようにする。
(a) 再検討を条件とする決定を出した役所又は当局者からは独立した不服審査。そして、
(b) 加盟国の国内法に従い、不服審査の最終段階で取られる決定の司法審査。
2 上訴に関する決定の通知は上訴人に与えられ、当該決定の理由は書面で提供される。
3 不服審査の段階は、税関を監督する官庁を含むことができる。
■第9条 協議
加盟国の税関は、加盟国間で取引される産品に影響を与える重要な関税問題に関するお互いとの協議を奨励することになる。
■第10条 ペーパーレス貿易
1 税関は、各々と各々の商取引コミュニティの間の商取引を助ける電子環境を提供するようにそれぞれ
努力する。
2 ペーパーレス貿易に備える新たな取組みを実行する際、加盟国の税関は、APEC及び「世界
税関機構」において策定される手法を考慮に入れる。
■第11条 速達委託
各加盟国は、適切な管理と関税の選択を維持すると同時に、全ての輸送貨物の効率的な通関手続きを確かにする。加盟国の現行のシステムが効率的な通関手続きを保証しない場合、以下の目的の速達委託を迅速化するための手続を採択する。
(a) 速達委託品に関係する情報の到着前処理の規定を設けるため。
(b) 可能ならば電子的手段を通して、速達輸送会社が運ぶ輸送貨物に含まれる全ての産品を
取り扱う単一の文書の提出を許可するため。そして、
(c) 速達委託品の引渡しに必要な文書を、可能な限り最小限に抑えるため。
■第12条 罰則
各加盟国は、本章の規定と合致する関税法の違反に対する民事処罰、刑事処分又は行政処分導入(単独か他の罰則との組み合わせかを問わず)の規定を設ける措置を採択又は維持する。
■第13条 危機管理
1 加盟国団は、危険性の低い産品の通関手続きを円滑にするように税関手続を施行し、危険性の高い
産品を重点的に取り扱う。国境を越えた産品の流入出を増進するため、税関は当該手続を定期的
に審査する。
2 産品の検査は税関管理からの産品の通関手続きを承認するためには不必要であると税関が見なす
場合、加盟国は、全ての輸出入の文書的処理又は電子的処理のための単一の場を提供するよう
努力する。
■第14条 産品の引渡し
各加盟国は、産品を以下の様態で引き渡すように、最大限できる限りさせる手続を採択又は維持する。
(a) 到着の48時間以内に、そして、
(b) 倉庫又はその他の場所への一時的移動なく、到着地点で引き渡す。
■第15条 問い合わせ窓口
各加盟国は、関税に関わる事項について関係者からの問い合わせに対処するための一つ以上の問い合わせ窓口を指定し、当該問い合わせを行うための手続に関する情報をインターネット上もしくは印刷形式で入手可能にする。
■第16条 守秘義務
本章の如何なる規定も、その公開に以下のような可能性があると加盟国が見なす本章に準拠した機密情報へのアクセスを提供又は許可するよう加盟国に要求するとは解釈されない
(a) 加盟国の法律が定める公共の利益に反する。
(b) 法律(個人のプライバシー又は金融機関の金融業務及び個々の顧客の口座を保護するための
法律を含むがそれに限らない)のいずれかに反する。
(c) 法の執行を妨げる。又は、
(d) 情報を提供する人の競走上の立場を侵害する。
■第1条 定義
この章において、
「関税法」とは、加盟国の税関によって施行、適用又は執行される法律を意味する。
「関税法違反」とは、関税法違反又は違反未遂を意味する。
「税関手続」とは、税関の統制に従って、各加盟国の税関当局によって商品に適用される処理を意味する。
■第2条 目的
この協定における本章の目的は、
(a) 加盟国の関税法及びその他の税関の管理上の施策の適用における予測可能性、一貫性
及び透明性を確かにすること。
(b) 効率的で無駄のない税関手続の施行、及び産品の迅速な通関手続きを確かにすること。
(c) 加盟国間の貿易を円滑にすること。
(d) 簡易化した税関手続を適用すること。そして、
(e) 税関の間の協力を促進することである。
■第3条 範囲
この章は、各加盟国それぞれの国際的義務及び関税法に従い、加盟国間で取引される産品に適用される税関手続に対して適用する。
■第4条 関税手続及び円滑化
1 加盟国の税関手続は、可能であれば、各自の関税法が許す範囲で、「世界税関機構」の規格
及び推奨手順(「税関手続の簡易化及び調和に関する国際規約」の原則を含む)に従う。
2 各加盟国は、自国の税関手続及び手順が、予測可能で、一貫して、透明性があるように努め、
貿易を円滑にする。
3 加盟国の税関は、税関手続の更なる簡易化と貿易を円滑にするための相互に有益な取決めの
策定を目的として、税関手続を定期的に審査する。
■第5条 関税協力
1 国内法が許す範囲で、加盟国の税関は、以下の事項に関する情報の提供によって、原産品に関して、
当該税関が妥当と見なすとおりに、互いに支援できる。
(a) 本章の履行及び運用。
(b) 加盟国間の産品の移動。
(c) “一見したところでの”関税法違反の調査と防止。
(d) 税関の最良慣行及び危機管理手法の策定と実行。
(e) 税関手続の簡易化及び迅速化。
(f) 技能の向上と科学技術の利用。
(g) 関税評価協定の適用。そして、
(h) その他の事項に関する追加支援。
2 この章に従い別の加盟国に情報を提供する加盟国が情報を機密として指定する場合、その他の加盟
国は情報の機密性を保持する。
■第6条 関税評価
加盟国団は、1994年のGATT第7条の規定及び関税評価協定に従い、加盟国間で取引される産品の関税課税価格を決定する。
■第7条 事前教示
1 各加盟国は、自国の税関を通して、2(a)で説明する人に対して、関税分類と産品の原産地及び、
産品が第3章第5条(修復及び手直しの後に再入国した産品)に従い無関税入国の資格があるか
どうかに関する事前教示(これ以降“事前教示”として言及する)を書面で提出する。
2 各加盟国は、事前教示のための手続を採択又は維持する。その事前教示は、
(a) 自国の領域の輸入者又は別の加盟国の領域の輸出者又は生産者が、問題の産品の輸入前に
事前教示を申請できることを定める。
(b) 事前教示の申請者が産品の詳細な説明と事前教示を出すために必要な全ての関連情報を
提出することを要求する。
(c) その国の税関が、事前教示を出す過程でいつでも、申請者に規定の期間内に追加情報を
提供するよう要求できることを定める。
(d) 事前教示は申請者が提示する事実と状況及び決定権者が保有するその他の関連情報に
基づくと定める。そして、
(e) 事前教示が迅速に、又は如何なる場合でも全ての必要な情報の受領から60日以内に、
申請者に出されると定める。
3 2(c)に従って加盟国が要求する追加情報が規定の時間内に提供されない場合、加盟国は事前教示の
要求を拒否できる。
4 5を前提として、各加盟国は、当該教示の日から3年以内、又はその加盟国の法律が求めるその他の
期間以内に自国の領域に輸入される当該教示で説明する全ての産品の輸入に対して事前教示を
適用する。
5 加盟国は、もしも本協定と合致する国内法に変更があるか、重要な事実又は事前教示の基になる
状況に変化があるならば、提供された情報が誤り又は不正確である、事前教示が事実誤認又は
法の誤りに基づいていたという決定の上で、事前教示を改訂又は無効にできる。
6 加盟国の国内法の機密保持要件を前提とし、各加盟国は自国の事前教示を公開する。
7 輸入される産品に与えられる待遇は事前の教示に準拠するべきだと輸入者が主張する場合、税関は、
輸入に関する事実と状況が、事前の教示が基にした事実と状況と合致するかどうか審査できる。
8 輸入国は、第5章第12条に規定する措置を適用できる。
■第8条 審査及び上訴
1 各加盟国は、自国の領域の輸入者が以下の審査を利用できるようにする。
(a) 再検討を条件とする決定を出した役所又は当局者からは独立した不服審査。そして、
(b) 加盟国の国内法に従い、不服審査の最終段階で取られる決定の司法審査。
2 上訴に関する決定の通知は上訴人に与えられ、当該決定の理由は書面で提供される。
3 不服審査の段階は、税関を監督する官庁を含むことができる。
■第9条 協議
加盟国の税関は、加盟国間で取引される産品に影響を与える重要な関税問題に関するお互いとの協議を奨励することになる。
■第10条 ペーパーレス貿易
1 税関は、各々と各々の商取引コミュニティの間の商取引を助ける電子環境を提供するようにそれぞれ
努力する。
2 ペーパーレス貿易に備える新たな取組みを実行する際、加盟国の税関は、APEC及び「世界
税関機構」において策定される手法を考慮に入れる。
■第11条 速達委託
各加盟国は、適切な管理と関税の選択を維持すると同時に、全ての輸送貨物の効率的な通関手続きを確かにする。加盟国の現行のシステムが効率的な通関手続きを保証しない場合、以下の目的の速達委託を迅速化するための手続を採択する。
(a) 速達委託品に関係する情報の到着前処理の規定を設けるため。
(b) 可能ならば電子的手段を通して、速達輸送会社が運ぶ輸送貨物に含まれる全ての産品を
取り扱う単一の文書の提出を許可するため。そして、
(c) 速達委託品の引渡しに必要な文書を、可能な限り最小限に抑えるため。
■第12条 罰則
各加盟国は、本章の規定と合致する関税法の違反に対する民事処罰、刑事処分又は行政処分導入(単独か他の罰則との組み合わせかを問わず)の規定を設ける措置を採択又は維持する。
■第13条 危機管理
1 加盟国団は、危険性の低い産品の通関手続きを円滑にするように税関手続を施行し、危険性の高い
産品を重点的に取り扱う。国境を越えた産品の流入出を増進するため、税関は当該手続を定期的
に審査する。
2 産品の検査は税関管理からの産品の通関手続きを承認するためには不必要であると税関が見なす
場合、加盟国は、全ての輸出入の文書的処理又は電子的処理のための単一の場を提供するよう
努力する。
■第14条 産品の引渡し
各加盟国は、産品を以下の様態で引き渡すように、最大限できる限りさせる手続を採択又は維持する。
(a) 到着の48時間以内に、そして、
(b) 倉庫又はその他の場所への一時的移動なく、到着地点で引き渡す。
■第15条 問い合わせ窓口
各加盟国は、関税に関わる事項について関係者からの問い合わせに対処するための一つ以上の問い合わせ窓口を指定し、当該問い合わせを行うための手続に関する情報をインターネット上もしくは印刷形式で入手可能にする。
■第16条 守秘義務
本章の如何なる規定も、その公開に以下のような可能性があると加盟国が見なす本章に準拠した機密情報へのアクセスを提供又は許可するよう加盟国に要求するとは解釈されない
(a) 加盟国の法律が定める公共の利益に反する。
(b) 法律(個人のプライバシー又は金融機関の金融業務及び個々の顧客の口座を保護するための
法律を含むがそれに限らない)のいずれかに反する。
(c) 法の執行を妨げる。又は、
(d) 情報を提供する人の競走上の立場を侵害する。