2011年02月26日

環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)私訳 『第7章 衛生植物検疫措置』

先日のエントリーに書いたとおり、TPPメインアグリーメントの私訳文を公開します。
今後の公開は必要に応じて行いますので順不同になると思います。
また、各章の分量も多いので、場合によっては章を分割して公開する場合も御座いますのでご了承下さい。

注)この訳文は当ブログ独自で行ったものです。
   著作権は放棄しませんが、非商用のみ自由引用とします。
   引用する場合、トラブル防止の為必ず出典を明記して下さい。






環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)『第7章 衛生植物検疫措置


■第1条 定義

1 この章において、
  「SPS協定」とは、WTO協定の一部である、「衛生植物検疫措置の適用に関する協定」を意味する。

2 SPS協定の付属書Aにおける定義は、必要な変更を加えて、この章に組み込まれ、本章の一部を形成
  する。

3 国際組織「国際獣疫事務局(OIE)」・「国際植物防疫条約(IPPC)」・「コーデックス委員会」が策定する
  関連定義は本章の履行において適用する。



■第2条 目的

 この章の目的は、

 (a) SPS協定及び、関係国際組織(OIE、IPPC及びコーデックス委員会)が策定する適用国際基準、
    指針及び提言の履行を強化・支持すること。

 (b) 加盟国の領域の人間、動物又は植物の生命もしくは健康を守る一方で、貿易参入問題の解決への
    努力を通じた加盟国間の貿易の円滑化を通して貿易の機会を拡げること。

 (c) 衛生植物検疫問題の意思疎通、協力及び解決を改善する手段を提供すること。

 (d) 人類、動物及び植物の生命又は健康の保護と合致した加盟国が維持する衛生植物検疫措置及び
    地域分離行為を承認するための仕組みを作り上げること。



■第3条 範囲

1 この章は、間接的もしくは直接的に加盟国間の貿易に影響を及ぼせる、加盟国の全ての衛生植物検疫
  措置に適用する。

2 本章もしくは実施協定の如何なる規定も、SPS協定に準拠した加盟国の権利又は義務を制限しない。



■第4条 衛生植物検疫問題に関する小委員会

1 加盟国団はここに、加盟国団の所轄官庁を含む衛生植物検疫問題に関する小委員会(小委員会)を
  設置する。

2 本協定の効力発生から一年以内に集まり、それから後は最低でも年一回又は加盟国団が相互に決定
  する通りに集まる。小委員会は初会合での手続規則を設ける。会合は、加盟国団が相互に決定する
  とおりに、直接、電話会談、テレビ会議、又はその他の方法を通して行う。小委員会はまた、通信を通じ
  て問題に取り組むこともできる。

3 小委員会は、本章より起こる技術的・科学的問題を明らかにし取り組む、加盟国の専門家レベルの
  代表者達で構成する技術作業部会を設置することに合意する。さらに専門家が必要な場合、当該
  部会の構成員資格を加盟国の代表に限る必要はない。

4 小委員会は、以下の事項を含む本章の履行に関する問題について検討する。

 (a) 事業計画の確立、監視及び審査。そして、

 (b) 加盟国間の貿易を円滑化するために本章の規定を更に詳しく説明する技術的事項に関する実施
    協定の開始、策定、採択、審査及び改訂。

5 4(b)で言及する実施協定は以下の事項を含む。

 (a) 競争当局及び連絡窓口(実施協定1)

 (b) そのために地域分離決定を取ることができる疾病及び疫病(実施協定2)

 (c) 地域分離決定の基準(実施協定3)

 (d) 措置の承認(実施協定4)

 (e) 監査実施の指針(実施協定5)

 (f) 証明(実施協定6)

 (g) 輸入検査(実施協定7)

 (h) 同等性:決定の手続(実施協定8)

6 実施協定の履行に対して責任のある各加盟国は、関係加盟国が別に合意しない限り、採択後三ヶ月以
  内に当該協定の履行に必要な全ての処置を取る。

7 小委員会は、本章の履行について委員会に報告する。



■第5条 所轄官庁及び連絡窓口

1 本章で述べる措置の実行に責任を持つ所轄官庁は、実施協定1に列挙される。通知に関して責任を
  持つ連絡窓口もまた、実施協定1で示される。

2 加盟国団は、自国の所轄官庁又は連絡窓口の能力に関する構造、組織及び区分における重大な変化
  について互いに通知する。



■第6条 地域条件への適応

1 加盟国の領域に疾病や疫病が存在しない地域又は区域がある場合、加盟国団は、疾病や疫病のない
  状態が侵入の場合にも維持されるようにするために、実施協定2の所定の位置にこの状態と措置を列
  挙することに、実施協定3に従って合意することができる

2 実施協定2に規定する疾病又は疫病が侵入した場合には、輸入国は、加盟国間の貿易を円滑化する
  ために実施協定2に規定する輸出国の措置を承認する。

3 加盟国団は、実施協定3に規定する基準に従い、実施協定2のリストに追加の疾病又は疫病を入れる
  ことに合意できる。

4 いずれかの加盟国が、自国が特定の疾病又は疫病に関する特殊な状態であると見なす場合、その
  加盟国はこの状態の承認を要求できる。当該加盟国はまた、合意された状態に対して適切な動物
  及び畜産物、植物及び植物性生産品、又はその他の関連産品の輸入に関する具体的な保証を要
  求することもできる。特定の疾病及び疫病のための保証は実施協定4に規定される。



■第7条 同等性

1 同等性は、実施協定4で規定されているような部門又は部門の一部に適用される措置とシステム、又は
  その一方の集合と個別の措置又はその一方に関係して加盟国が承認できる。実施協定4に記録する
  同等性の判定は、動物及び畜産物、植物及び植物性生産品における関係加盟国間の貿易、又は必要
  に応じて関連産品に適用される。

2 同等性の承認には、以下の事項の評価と受諾が必要である。

 (a) 管理を許可するため、そして国内及び輸入を行う国家の要件が満たされるようにするために機能
     している法律、基準及び手続、そしてプログラム。

 (b) 所轄官庁の文書化された構造、権限、指揮系統、“仕事の仕方”及び利用可能な資源。そして、

 (c) 管理・保証プログラムに関連する所轄官庁の能力。

  この評価において、加盟国団は既に得た経験を考慮に入れる。

3 もしも輸出国が、自国の措置が輸入国の適切な保護の水準を達成することを客観的に証明するなら、
  輸入国は、輸出国の衛生植物検疫措置を同等のものとして受け入れる。輸出国が適用する衛生植
  物検疫措置が輸入国の適切な保護の水準を達成しているかどうかの判定に及び際には、それらの
  加盟国は、実施協定8に規定する処理に従う。同等性判定の処理に関する加盟国の経験が増す中
  で、加盟国団は将来、処理の手順を加える又は改訂することができる。

4 同等性が承認されていない、もしくは適用が未決定のままである場合、貿易は、適切な保護の水準
  を満たすために輸入国が求める条件に基づいて行われる。これらの条件は、当該条件が合意され
  ている実施協定4に示すとおりである。もし条件が実施協定4において合意されず組み込まれてい
  なければ、輸出国が満たすべき条件は輸入国が規定する条件である。輸出国は、実施協定8に示
  す処理の結果に影響を与えることなく輸入国の条件を満たすことに同意できる。

5 実施協定4は以下の項目をリストにできる。

 (a) そのために各自の植物衛生検疫措置が貿易目的上同等のものとして承認される、部門又は
     部門の一部に適用される個別の措置と措置の集合とシステム、又はそのいずれか一方。

 (b) 同等性の評価が、実施協定8に示す処理に従い、実施協定4で指示する日までに(指示のない
    場合は輸入国が定める通りに)達成されることを可能にする処置。

 (c) 第7章第6条に規定する特殊な状態の承認に関係する特定の保証。

 (d) そのために加盟国団が異なる衛生植物検疫措置を適用し、3に規定する判定に結論を下して
     いない、部門又は部門の部分をリストにすることもできる。

6 関係加盟国の間に別段の合意がない限り、正式な衛生証明書又は植物検疫証明書は、輸入を意図し
  そのもののために同等性が承認されている動物及び畜産物、植物及び植物性生産品、又はその他
  の関連産品の各委託品のために要求されることとなる。当該証明書の手本となる証明書は、実施協
  定6に指示される。加盟国団は、共同して実施協定6に含まれる証明書の原則又は指針を決定でき
  る。



■第8条 確認

1 本章の規定の効果的な履行における信頼を維持するために、各加盟国は、所轄官庁の全面的管理
  プログラム(必要に応じて以下の事項を含む)の全て又は一部の評価を含められる、輸出国の手続の
  監査と確認を実行する権利を有する。

 (a) 点検・監査プログラムの審査

 (b) 現場検査

  これらの手続は実施協定5の規定に従い実行される。

2 各加盟国はまた、第7章第9条と合致する、輸入上の委託品に対する衛生植物検疫措置の実行を目的
  とした輸入検査(その結果が確認処理の一部を成す)を行う権利も有する

3 輸入国及び輸出国の同意を得て、加盟国は、

 (a) 監査・確認の手続及び検査の結果と結論を非加盟国と共有できる。又は、

 (b) 非加盟国の監査・確認の手続及び検査の結果と結論を利用できる。



■第9条 輸入検査

1 輸入される動物及び畜産物、植物及び植物性生産品、又はその他の関連産品に適用される輸入検査
  は、当該輸入品に付随する危険性を基にする。検査は不当な遅延なく加盟国間の貿易への影響を最
  小限にして実行する。

2 当該輸入品の輸入検査の頻度は、要請に応じて利用可能であり、実施協定7に示す場所はそれに応じ
  て適用される。加盟国団は、実施協定4に従った進展の結果として、又は本章に規定するその他の処
  置や協議の結果として、責任の範囲内で、必要に応じて、頻度を修正できる。

3 輸入検査が関連基準と要件、又はその一方の不適合を明らかにする場合には、輸入国が取る処置は
  関連する危険性の評価を基にする。可能な限り、輸入者又はその代表は、輸入国の最終決定を助け
  るために、委託品を利用する権利及び関連情報を提供する機会が与えられる。



■第10条 通知

1 加盟国団は、以下の事項について実施協定1に示す連絡窓口を通じて書面で互いに通知する。

 (a)  健康状態の重大な変化(実施協定2の疾病又は疫病の存在と進化を含む。)結果として起こり得る
     その他の加盟国のいずれかへの伝染についての危険性の管理に関した加盟国の能力の継続的
     信頼を保証するように時宜に適った適切な方法で通知すること。

 (b) 実施協定2にない疾病又は疫病あるいは新たな疾病又は疫病に関する重要な研究結果。遅滞なく
    通知すること。

 (c) 疾病や疫病の蔓延を防ぐ又は根絶するため、もしくは公衆の健康を守るために取られる各自の植物
    衛生権益措置の基本要件を越えた追加措置、並びに予防政策(予防接種政策を含む)の変更。

2 人間、動物又は植物の生命もしくは健康に関する深刻で差し迫った懸案事項がある場合には、即時の
  口頭の通知が連絡窓口に対して行われ、文書による確認が24時間以内に続く。

3 加盟国に人間、動物又は植物の生命もしくは健康に対する危険に関する深刻な懸案事項がある場合、
  その状況に関する協議を、要求に応じて、できる限り早く、加盟国団の間で別段の合意がない限りど
  んな場合でも13日以内に開催する。各加盟国は、このような状況において、貿易の混乱を回避する
  ため、そして互いに受け入れることのできる解決に達するために必要な全ての情報を提供するよう努
  力する。

4 衛生植物検疫措置を受ける産品については、関係する基準と要件、又はその一方との不適合がある
  場合、輸入国は、実施協定7に示すとおりに不適合についてできるだけ早く輸出国に通知する。



■第11条 暫定的措置

 第7章第10条、特に第7章第10条の3を侵害することなく、加盟国は、深刻な人間、動物又は植物の生命もしくは健康上の理由で、人間、動物又は植物の生命もしくは健康を守るために必要な暫定的措置を採択できる。当該措置は24時間以内にその他の加盟国の通知され、要請に応じて、事態に関する協議が13日以内(加盟国団の別段の合意がない限り)に開かれる。加盟国団は、当該協議を通じて提供される情報を十分に考慮する。



■第12条 情報交換

1 加盟国団は、実施協定1に示す連絡窓口を通して、確かさをもたらし、相互信頼を生み、管理された
  プログラムの有効性を証明するために、統一的且つ組織的に、本章の履行に関連する情報を交換
  する。

  必要に応じて、これらの目的の成果は職員の交換により高めることができる。

2 各自の衛生植物検疫措置の変更、そしてその他の関連情報に関する情報交換は、以下の事項を
  含む。

 (a) 本章に影響を与える可能性のある規制基準又は規制上の要件の変更の提案を(その確定に先立
    ち)検討する機会。

 (b) 貿易に影響を与える最近の動向に関する状況説明。そして、

 (c) 第7章第8条に規定する確認手続の結果に関する情報。

3 加盟国団は、衛生植物検疫措置及び関連事項についての関係科学討論会に対する学術論文または
  科学的データの共有を規定することができる。



■第13条 技術的協議

1 加盟国は、本章で取り扱う措置の適用又は本章の規定の解釈に関する問題の解決を目的として別の
  加盟国との協議を開始できる。

2 加盟国が協議を要請する場合、当該協議は出来る限り速やかに開催される。

3 もし加盟国が必要と見なすなら、小委員会に当該協議を円滑化するよう要請できる。小委員会は、更な
  る議論のために問題を特別作業部会に委託できる。特別作業部会は、問題の解決に関して小委員会
  に提言できる。小委員会は、不当に遅延することなく問題の解決を目的として提言について議論する。

4 当該協議は第15条(紛争解決)に基づく加盟国の権利と義務を侵害するものではない。



■第14条 協力

1 加盟国団は、本章の規定と一致する共通の利益となる衛生植物検疫問題に関して更なる協力と連携の
  機会を模索する。

2 加盟国団は、第一次産業問題に関係する第16章(戦略的連携)の規定及び付随する実施協定が、
  本章の履行に関連することを認める。

3 加盟国団は、本章の履行、そして特に本章の実施協定の策定を円滑にするために、互いに協力する
  ことに合意する。




posted by FumiHawk at 00:38| Comment(2) | TrackBack(0) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
>加盟国団が相互に決定するとおりに、直接、電話会談、テレビ会議、又はその他の方法を通して行う。

納得です。各国を移動するようりもビデオ会議や電話会議はますます広がっているのですね。
Posted by テレビ会議システム at 2011年02月26日 00:55
実際の条文の訳を公開するのは有意義だと思います。参考にしたいです。この条文はP4時点でのものでしょうか?米国参加前後では内容に変化があるのではないかと、思いますがどうでしょう?
Posted by のびた at 2012年02月20日 00:13
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。