2011年03月08日

FM・NACK5番組出演の文字起こし 〜TPPについて〜

 Twitterでは告知させて頂いたのですが、去る3月4日(金)23時放送のFM・NACK5セイタロウ&ケイザブロー おとこラジオ」に電話出演いたしました。
 この回は『権力』がテーマだったのですが、その中でTPPついて取り上げる部分があり、「TPPが日本を壊す」監修として私が電話出演いたしました。
 が、いかんせんNACK5は埼玉を中心とした関東圏でしか聞く事が出来ません。
 さてどうしたものかと思っていたところ、放送を視聴した方が電話出演部分を文字起こしして下さいました。
 このエントリーでは、文字起こしされた『つくちゃん』様のご承諾を得て、『“Eye of the Doppelganger”別館』より文字起こし部分を転載させて頂きました。
 10分程の短時間ゆえ、出来るだけコンパクトに要点のみをまとめた内容ですので、TPPに関する知識の入り口として活用して頂ければ幸いです。


――今週のおとこラジオは、『権力』をテーマにお送りしています。ここからは、3月2日に扶桑社から出版、『TPPが日本を壊す』の監修を務められたアナリストの青木文鷹さんにお話を伺ってまいります。それでははじめましてケイザブローです。よろしくお願いします。

青木文鷹(以下青木)「はい、よろしくお願いします。青木です。」

――セイタロウです。よろしくお願いします。

青木「よろしくお願いします。」

――さあ青木さん、まず、すごく基本的なことをお聞きしたいわけなんですが、菅総理になってから急に出てきましたTPPという言葉なんですが、そもそもTPPは、どういうものなんでしょうか?

青木「TPPというのは、日本語に訳すと『環太平洋戦略的経済連携協定』の略になります。ちょっと長いんですけれども。
 2006年にニュージーランド、シンガポール、ブルネイ、チリの4カ国でスタートした協定です。
 このタイトルの中に『戦略的経済連携』とあるように、元々ニュージーランドはそれほど人口が多くないですし、シンガポールも人数は少ないですね、お金は
ありますけれど。
ブルネイもお金持ちの国ですけれども、ここも人数はすごく少ないです。チリは逆に、人数はいるんですけれども、あまりお金持ちではないというか、後進国になりますので。これから発展する国ですので。
 こういう小さな国、世界的に見てプレゼンスが低い国が集まってできているものなんですよね。
 元々、国民の所得はあるが人口が少ない、市場が小さな国と、ある程度人口はあるが経済力が低い国がまとまって、ヨーロッパや日本、それからアメリカに対してプレゼンスをあげることが目的だったわけです。
 これについては序文とか、TPPの原文というのがありまして、メインアグリーメント、主文ですね、要するに会社で言えば定款みたいなものですけれども、ここのなかに実際『16章 戦略的連携』という形で、この目的が明示されています。
 あくまでこのTPPというのは、小さな国が集まって大国と渡り合おうというのが、本来の目的です。
 さらに、関税とか手続きをはじめとする貿易の阻害要因をグループ内で開放して、TPP自体があたかも一つの国であるような、経済の面に関してそういう形で動けるようにすることで、メリットを生かして存在感を高めて経済を活性化しようと、こういうのが目的なわけです。」


――青木さん、その、最初の段階ではそんなに問題ない、決して悪い話ではないんですが、ただ、そこに大国のアメリカだ、あるいは国土は小さいけれども日本、そう、オーストラリアも入ってくるんですよね。そうすると、一番最初の話と変わってきますよね。

青木「全然変わってきますね。」

――TPPの一番最初の初心は忘れ去られてしまいますね。で、問題が起こってくるんじゃないんですか、これから。

青木「そもそも、今行われている会議というのは『拡大会議』ということですね。
 で、拡大会議というのは、どうやって拡大していくかというのも条文のなかに入っているんですけれども、新規に作っているわけではないということが一つ。
 それで、あくまで原則として現在のTPP、これ、一番の目標は原則100%の市場開放をするということが目的なんですけど、これが大原則としてあると。ここについては変わらないということですね。
 で、大きな国が入るというのは、それぞれの国が、思惑があってグループに入ろうと。だから、実際に入れてもらえるかどうかというところからまず話が始まります。」


――なるほどなるほど。でも、影響力があるから、結局それを断ることはできませんよね?

青木「という可能性もあるんですが、今度は逆に自分たちが不利になるんだったら、入れないでグループとして本来の目的どおりにやったほうが得になる可能性も勿論、4カ国にとってはあります。」

――なかなか、菅総理からはこのTPPに対する説明が、今の青木さんがお話になっているような説明が全くないので。だから、メディアも本当にわかって伝え
ているのかね? なにか知らない重要な事実がそこにあるのではないかと思って、青木さんにお電話さしあげたのですが、いかがですか?

青木「まず、菅総理から情報が出てこないのは、先日ですね、国会で公明党の西(博義)議員が質問したときに、TPPの、協定のルールですよね、文書、メインアグリーメント、これ英語で160ページあるんですけれども、これがまず基本になるんですが『これ読んだことあります?』と訊いたら『めくったことはある』と言っているわけですね。」

――また得意の『疎い』というやつですかね。

青木「そうですね。そもそも、日本語の訳すら出てないんです、これ。
 ですから、今議論してらっしゃる方々も、多分ほとんどの人が、英語版をどこまで目を通したかというのはありますし、英語版にあたっていない人だと、日本
語でのデータは今、つい先日私ブログの方で公開したんですけれども、多分それ以外にデータ、日本語でまとまったものはないんですよね、主文に関して。
 ということなので、まずデータが出せないということがあります。」


――ということはメディアも伝えられませんね。

青木「ですので、やっぱりどこが影響するのかというのは、それぞれのポジションの方、例えば農水省だと農業がという話になりますし、経済産業省は経済の話からいきますよね。ですので、網羅した形で検討しているものがあまりないということになります。」

――青木さん、このTPPに参加することで、ズバリお訊きしたいんですけど、日本は得するんですか?

青木「基本的に、得をする人と損をする人といますね。全体として見ると、損をするとは思いますけれども。」

――どんな方が得して、どんな方が損されるんですか?

青木「まずですね、得をするという意味で言うと、貿易、域内のグループの中の人たちから日本に買って来る人ですね、これは当然メリットはありますね。関税が下がりますので。
 で、今度は逆に損をする人たちというのは、農産物の自由化が起こりますので、第一次産業……農業、畜産業、こういうものですね。これは大きなダメージを受けると思います。
 それから、第11章というところに『政府調達』という項目が書いてあるんですが、政府調達というとわかりにくいんですが、これは公共事業です、一番簡単
に言えば。
公共事業その他も入るんですけれども。これは今まで都道府県レベルまでは公開されてたんです。海外の業者が入れたんですね。なんですけど、これを市区町村レベルまでやります。
 ですので、これ国外の業者が安く受注しちゃうと、地場産業とか地元の企業さん、死活問題になりますね。」

――海外の資本が入ってきて、そういう方たちがダムを作ったり例えば道路を作ったりする可能性も出てくるということですか。

青木「そういうことですね。
 ですので、安く作れる可能性もありますが、その分地元にはお金落ちませんので、例えば小学校を作るなんていう時、地元の建築業者が今までやっていたものが、例えばニュージーランドの企業が取れちゃったら、ニュージーランドにお金が流れちゃうわけですよね。
 こういうようなところで、お金が地元に落ちなくなる可能性、そうすると、地方経済は非常に辛い状況になると思います。」


――地方は元々疲弊しきってどうしようもない状況でね、今回これが、疎いなかで妙に菅総理のモチベーションでスタートを切ったりするとですね、これ地方が壊れるっていうことは、青木さん、大げさに言うと、日本が壊れることになるんじゃないですか。

青木「なりますね。
 で、実はこれで得をする人たちというのがもう一人いて、企業ですね、大きな企業。この人たちが得をするので中々話がおかしくなってくると。
 ただ、日本企業というと日本で物を生産してるというイメージですけれど、例えば地域内どこで作っても、日本で作ってもチリで作っても同じ条件になると、
そういうことになりますよね。
そうすると、企業の経営者としては当然人件費の安い海外で作って日本に持ってきた方が利益が大きくなるわけですよ。
 次善の策として考えられるのは、海外から安い労働力、要するに人を連れてきて日本で作ると、こういう話になりますよね。これをやられちゃうと、日本で雇用がどんどん減るんです。」


――これ、ドイツとトルコの関係になるようでいけませんね。

青木「全くそういうことですね。
 実際に、先日大手家電メーカーの方が『このまま円高が進めば国内の雇用を5分の1ぐらいにせざるを得ないだろう』なんていう発言をしてるんですけれども、この上拍車がかかりますよね、TPPに入れば。
 今の経済のアナリストだとか、論調、賛成反対どちらも、企業の経営者がどういう判断をするというところまでは踏み込んでないものですから、その辺でメリットデメリットがちょっと狂ってきてしまうということもありますね。」


――そういう整理をしないまま、このTPPに参加でスタートを切ってしまって、後でまた傷口に絆創膏を貼るという、そういうことだけはやめてもらいたいですね。

青木「でもその可能性が高いですね。」

――じゃないと日本列島全体が絆創膏だらけになっちゃいますもんね。「??」も解決されてないんですから。(??は言葉が被ってしまって聞き取れませんでした。)

青木「日本の形をどうするかという議論ですので、これって。ですので、本来極めて高度な外交力がないとできない話なんですが、予算すらまとまっていない状況ですので、現状でやると非常に致命傷になるんじゃないかと。」

――はい、多分これでかなりTPPに皆さん関心をもったと思いますが、お時間が10分過ぎましたのでそろそろ青木さんとお別れいたしますが、改めて申し上げます。
 扶桑社新書から『TPPが日本を壊す』表紙はオレンジと黒い色でわかりやすいです。働いている一人のイケメンの青年の顔がヘルメットを被ってあります。
『え、僕にも関係あるんですか!?』
『あなたの“食”と“職”が危ない』
 他人事ではないです。青木さん、どうもありがとうございました。

青木「ありがとうございました。」



posted by FumiHawk at 23:16| Comment(0) | TrackBack(0) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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