それに従い、以下の6項目(ロイターより)を公約として発表しました。
1)1日も早いデフレ脱却と成長力の底上げによる所得向上・雇用創出
2)憲法改正・教育再生
3)日米同盟の強化など外交・安全保障の確立
4)道州制を前提とする地方分権の推進など強固な国づくり
5)消費税に軽減税率を導入するなど社会保障制度の確立
6)経済連携協定(EPA)や自由貿易協定(FTA)の推進などによる地域づくり
自民党の総理経験者が戦後の慣例を破っての出馬表明ですので、この6項目は自民党でのある程度のコンセンサスが得られる内容と考えていいでしょう。
現在、日本の抱えている問題は大きく分けて「国防(領土問題含む)」「デフレ」「景気低迷」の3つです。
デフレと景気低迷は同一に見えますが、これは本質的に異なるものですので、それぞれの解決が必要です。
安倍元総理の公約の1番目はデフレ脱却と成長力の底上げによる所得向上・雇用創出を唄い、会見でも「消費税増税前のデフレ脱却、経済を力強い成長軌道に乗せていく必要性」を訴えています。
この根本姿勢はこれまでの国政にくらべて経済環境改善への強い意志が見られると言えます。実際の方針として、デフレ脱却に対しては、政府と日銀が協調して大胆な金融緩和などデフレ脱却のため政策を総動員し、2─3%の緩やかで安定的なインフレを達成する必要を示し、経済成長戦略に関しては、自民党が政権を奪取した際には「日本経済再生本部」を創設、新たな成長戦略を策定するとしています。
デフレ脱却と景気低迷の改善を別々に捉えている点は現状をきちんと理解していると言えます。
日銀との協調による金融緩和を訴えているものの、現状それが出来ない原因である日銀法の改正への言及がない点は少々勿体無い気がします。
経済成長に関しては、方向性はあるがフリーハンドで考えようという内容です。記者会見で「成長の鍵はイノベーション。新しい技術、ビジネスアイデア、創造的な取り組み。イノベーションに国家資源を戦略的に投入する」と具体案を避けた表明をしていますが、これは総裁選立候補までの準備期間が短かった事が原因でしょう。以前、安倍元総理に経済についてご説明させて頂いた折に「所得の向上と雇用創出が最大のテーマ」とお話しさせて頂いたので、この点について項目の筆頭に記載された事はありがたい限りです。またその際に、現状では経済を最優先すべきと強く申し上げてきましたので、経済についての項目がトップに来ていることは喜ばしいことです
2番目については安倍元総理の持論であり、教育の再生は行われなければならない問題ですので大いに期待するところです。
3番目の安全保障についても同様で、尖閣諸島や竹島といった問題が大きく注目される中、民主党政権で悪化した日米関係を改善する事も含めて、安倍元総理の経験に期待が持てます。
4番目の道州制についてですが、この点に関しては「何の為の道州制か」が明示されなければ「強固な国作り」と相反してしまいます。行政効率化を目的とした行政区分の変更としての道州制ならば理解できますが、中国の動向等を考えると地方主権といった現在多く見られる道州制論では逆に国を弱くしてしまいます。この点は維新の会との連携をある程度念頭に置いての言及でしょうが、正直不安が残る部分です。
5番目の社会保障制度の確立については、消費税の軽減税率と社会保障制度の確立はある意味「全く関係ない」ので、社会保障制度改革に手を付けるぞという表明程度と理解すべきでしょう。更にいえば民自公の三党合意支持の姿勢ですので、それを明確にした項目であるとも言えます。三党合意に是非はともかく、民主党はその合意で党内を纏めきれず分裂しているのですから事実上合意を堅持する必要性があるのか正直疑問ではありますが。
6番目のEPAやFTAですが、これらは国益を鑑みて必要に応じて交渉、締結を行うものであり、決して「地域作り」のツールではありません。TPPもそうですが、仮にこれらを地域作りのツールと考えるのであれば、その思想は過去の「地域ブロック化」へ繋がるものに他なりません。地域作りとしてEPAやFTAを利用しようとすると、国益を地域作りの観点から犠牲にしかねない場合や、地域としての纏まりを優先し、地域外諸国の排除に繋がる危険性を孕んでしまいます。これら経済協定に対する理解に関しては正直不安です…が、この点の認識は永田町ではそれほど差がないのが残念なところです。
総評としては、経済については問題意識をしっかり持っており、安全保障に対しては高い意識と経験を感じられるが、全体では突貫工事な印象です。
もう少し時間があればもっと練り込んだ内容になったと思います。
ただ、経済を筆頭に据えた公約が明確に打ち出された事は、日本の現状を考えると重要なことだと思います。
現在の日本に必要な「国防(領土問題含む)」「デフレ解消」「景気浮揚」の3つのうち2つは及第点、「景気浮揚」に関しては今後に期待といった感じでしょう。
いずれにしても、安倍元総理には大きな期待をしていますので、これからも微力ながら応援させて頂きたく存じます。
青木先生が書籍や放送で訴えて居られた「デフレ脱却と成長力の底上げによる所得向上・雇用創出」を掲げる政治家が居るという事に、そしてソレが安倍元総理だと言う事に驚き、感激しています。
私も、微々々々…力ながら応援させて頂きたいと思います。みんなで頑張りましょう!
ラジオのお話しでは幾度かお会いしているようには感じていました。
これからも日本のためによろしくお願いいたします。
デフレ脱却・所得向上・雇用創出を最優先する経済政策を出す候補がやっと現れたようで、嬉しく思います。
4番と6番については正直「?」な感じですが、経済と安全保障、教育再生については大いに期待したいです。
http://www.s-abe.or.jp/wp-content/themes/politicianA/img/seisaku2012.pdf
ともあれ、「所得向上」を含むデフレ脱却・震災復興・エネルギー戦略などなどの、安心社会のための経済政策を「一日も早く解決するべき課題」と位置付けていることに、大きな期待を抱かされます。
安倍さんも、青木さんも、頑張って!