2014年10月14日

特定秘密保護法:その目的と対象(おまけで閣議決定の意味)

14日、政府は特定秘密保護法の関係政令(@施行期日政令A施行令B内閣府本府組織令等改正政令)や運用基準を閣議決定しました。
正直、特定秘密保護法は条文読めば解釈云々関係なく理解できるレベルの内容だし、日本が安全保障のために求められている「スパイ防止」を考えたら、全然ヌルすぎる内容です。

にもかかわらず、今回の閣議決定に対し「閣議決定とか国会軽視」とか「軍靴の音が」等々相変わらず特定機密保持法では不可能な事案発生を懸念する意見が散見されたので、ここで「メディア等で(無駄に)心配されている部分」について解説しておこうと思います。

・・・と、その前に今日の閣議決定について。
今日の閣議決定で決められたのは @施行期日政令A施行令B内閣府本府組織令等改正政令+運用規定 等です。
コレについて「国会を蔑ろにしている」「閣議だけで決定するなんて独裁だ」といった現状を全く知らない発言がネット上で見られますが、大きな間違いです。

政令は法律の実施に必要な細則や法律が委任する事項を定めるために、日本国憲法73条6号に基づき内閣が制定する成文法です。
手続きは内閣法で規定され、閣議決定→主任の国務大臣が署名→内閣総理大臣が連署→天皇が公布するという流れです。
ですので、「政令を閣議決定で決めるとか、国会軽視も甚だしい」とか「国会にも諮らずに閣議決定するなんて、独裁政権みたい」といった発言は、全く的を外した法律を知らない発言です。特定秘密保護法が公布された時点で、それを運用するための政令は閣議決定されることが決っている訳ですから。

ということで、本題。

特定秘密保護法は『国家の安全保障に関わる“政府関係機関の持っている”情報が漏洩しないようにする』法律です。政府関係機関からの漏洩防止の法律ですから、一般人が電波ゆんゆんで書いた怪文書や、反政府市民団体の出している文書などは最初から対象にすら成っていません。ほんと、どうして「特定秘密保護法で日本の民主主義が破滅する」みたいな主張に繋がるのか・・・もういっぺん小学校の国語から勉強しなおしてこいと。

この時点で、説明はほぼ終わっているとも言えるのですが、それではあまりに余りなので、「この法律の目的」と「法律の対象」についで説明します。


◆特定秘密保護法の【目的】

この法律は、国際情勢の複雑化に伴い我が国及び国民の安全の確保に係る情報の重要性が増大するとともに、高度情報通信ネットワーク社会の発展に伴いその漏えいの危険性が懸念される中で、我が国の安全保障【(国の存立に関わる外部からの侵略等に対して国家及び国民の安全を保障することをいう。以下同じ。)】に関する情報のうち特に秘匿することが必要であるものについて、これを適確に保護する体制を確立した上で収集し、整理し、及び活用することが重要であることに鑑み、当該情報の保護に関し、特定秘密の指定及び取扱者の制限その他の必要な事項を定めることにより、その漏えいの防止を図り、もって我が国及び国民の安全の確保に資することを目的とする。[第一条]


もう、キッチリと解釈の余地無く『我が国の安全保障に関する情報のうち特に秘匿することが必要であるもの』が対象であると書かれています。
ウチが書いた駄文や、表現の自由云々と全く異なる次元での設定で、どうしてこの法律ができたら「映画が撮れなくなる」とか「作品が作れなくなる」とかいう主張に繋がるのか全く理解できません…ああそういう主張をなさる方々が「国家の安全に関わるような映画や小説」ばかり書いているなら話は別ですが。


◆特定秘密保護法の【秘密に指定する事が出来る対象】

行政機関の長(当該行政機関が合議制の機関である場合にあっては当該行政機関をいい、前条第四号及び第五号の政令で定める機関(合議制の機関を除く。)にあってはその機関ごとに政令で定める者をいう。第十一条第一号を除き、以下同じ。)は、当該行政機関の所掌事務に係る別表に掲げる事項に関する情報であって、公になっていないもののうち、その漏えいが我が国の安全保障に著しい支障を与えるおそれがあるため、特に秘匿することが必要であるもの(日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法(昭和二十九年法律第百六十六号)第一条第三項に規定する特別防衛秘密に該当するものを除く。)を特定秘密として指定するものとする。【ただし、内閣総理大臣が第十八条第二項に規定する者の意見を聴いて政令で定める行政機関の長については、この限りでない。】[第三条の1]


政令で定めるところにより、特定秘密である情報を記録する文書、図画、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録をいう。以下この号において同じ。)若しくは物件又は当該情報を化体する物件に特定秘密の表示(電磁的記録にあっては、当該表示の記録を含む。)をすること。[第三条の2の一]


ここでも、指定対象は明確に規定されています。秘密に指定する事が出来る対象は『当該行政機関の所掌事務に係る別表に掲げる事項に関する情報であって、公になっていないもの』で、なおかつ『その漏えいが我が国の安全保障に著しい支障を与えるおそれがあるため、特に秘匿することが必要であるもの』となっています。また、記録形式は『文書、写真、及びデジタルデータ』です。

別表(下記)にはどんなモノが対象になるか、更に詳しく書かれています。読めば分りますが、自衛隊の関連の防衛関連の情報と、外交機密、特定有害活動、テロ関連のみですので、国民を弾圧するだの表現の自由が云々だの全く関係なし。
「特定有害活動」は、海外からの不正アクセスによる政府機関の情報窃取を防止するために講じる防護措置、大量破壊兵器関連物資の不正取引を防止するための計画、外国の情報機関から秘密の保全を前提に提供を受けた大量破壊兵器関連物質の不正取引に関する情報が該当しますので、もし「弾圧ガー」とか言ってる人は、国家転覆を狙う革命分子か外国の工作員、もしくは日本征服を企む悪の秘密結社くらいでしょう。


別表1-3

一 防衛に関する事項

イ 自衛隊の運用又はこれに関する見積り若しくは計画若しくは研究

ロ 防衛に関し収集した電波情報、画像情報その他の重要な情報

ハ ロに掲げる情報の収集整理又はその能力

ニ 防衛力の整備に関する見積り若しくは計画又は研究

ホ 武器、弾薬、航空機その他の防衛の用に供する物の種類又は数量

ヘ 防衛の用に供する通信網の構成又は通信の方法

ト 防衛の用に供する暗号

チ 武器、弾薬、航空機その他の防衛の用に供する物又はこれらの物の研究開発段階のものの仕様、性能又は使用方法

リ 武器、弾薬、航空機その他の防衛の用に供する物又はこれらの物の研究開発段階のものの製作、検査、修理又は試験の方法

ヌ 防衛の用に供する施設の設計、性能又は内部の用途(ヘに掲げるものを除く。)

二 外交に関する事項

イ 外国の政府又は国際機関との交渉又は協力の方針又は内容のうち、国民の生命及び身体の保護、領域の保全その他の安全保障に関する重要なもの

ロ 安全保障のために我が国が実施する貨物の輸出若しくは輸入の禁止その他の措置又はその方針(第一号イ若しくはニ、第三号イ又は第四号イに掲げるものを除く。)

ハ 安全保障に関し収集した【国民の生命及び身体の保護、領域の保全若しくは国際社会の平和と安全に関する重要な情報】又は条約その他の国際約束に基づき保護することが必要な情報(第一号ロ、第三号ロ又は第四号ロに掲げるものを除く。)

ニ ハに掲げる情報の収集整理又はその能力

ホ 外務省本省と在外公館との間の通信その他の外交の用に供する暗号

三 特定有害活動の防止に関する事項

イ 特定有害活動による被害の発生若しくは拡大の防止(以下この号において「特定有害活動の防止」という。)のための措置又はこれに関する計画若しくは研究

ロ 特定有害活動の防止に関し収集した【国民の生命及び身体の保護に関する重要な情報】又は外国の政府若しくは国際機関からの情報

ハ ロに掲げる情報の収集整理又はその能力

ニ 特定有害活動の防止の用に供する暗号

四 テロリズムの防止に関する事項

イ テロリズムによる被害の発生若しくは拡大の防止(以下この号において「テロリズムの防止」という。)のための措置又はこれに関する計画若しくは研究

ロ テロリズムの防止に関し収集した【国民の生命及び身体の保護に関する重要な情報】又は外国の政府若しくは国際機関からの情報

ハ ロに掲げる情報の収集整理又はその能力

ニ テロリズムの防止の用に供する暗号


ということで、特定秘密保護法は普通に生活している人には全く関係ない法律であることが分ります。
posted by FumiHawk at 23:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 情報分析 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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