これは、最高裁の裁判官に不適切な人が就任している場合に、その状況を改善する為に行われます。
最高裁の裁判官は、任命後初の衆議院議員総選挙の投票日に国民審査を受けます。
審査の方法は、衆院選の投票時に審査用の投票用紙を渡されます。
この投票用紙には裁判官の氏名が記されており、「最高裁の裁判官として不適切だな」と思う裁判官の氏名の上に×印を書き入れます。
×印が投票の過半数を越えると、その裁判官は罷免されます。
これは憲法にも記されている国民の権利であると同時に、我々の社会を構成する重要な問題でもあるのですが・・・ほとんど関心を向けられていません。
最高裁判所の判例は事実上の法律と同じような扱いを受けますので、最高裁でおかしな判決が出ると以後の社会に多大な影響が発生します。
政治家と同様に、最高裁判事も日常生活に直接的間接的な影響を与える存在です。
にもかかわらず話題にもほとんど取り上げられず、しかもこれまで「国民審査で罷免された裁判官は一人もいない」というのはある意味異常だと言えます。
この辺りの話を昨日ニコ生で話したのですが、その時に出した「裁判官の傾向をまとめた表」を欲しいと言うコメントが多かったので、下記に掲載します。

表は大体観て分かるとおりです。
「国歌起立職務命令」は君が代を歌ってる時に立たなかった“公立学校の教師”を処分することについてです。
一票の格差の「違憲」と「違憲状態」は、それぞれ「違憲だから即刻解消しろ」なのか「違憲だけど解消するかどうかは政治次第」という違い。
「猥褻画像へのURLリンク」は、猥褻画像そのものではなく画像へのリンク(文字列)を貼る事自体が処罰の対象となるかどうかです。この件は児童ポルノ絡みの案件なので、特に「思想>技術」となっている可能性があります。
「まねきTV」は、まねきTV裁判での判決です。この事件はソニーが販売していたネットを回して遠隔地でテレビを視聴できるようにするための製品“ロケーションフリー(ロケフリ)”を使い「1対1の遠隔視聴」をサービスとして提供するビジネスに対する判断です。ロケフリは2006年2月3日「経済産業省第1回ネットKADEN大賞」を受賞しており、商品として問題無いとされていたものを利用して行われた事業が差し止めとなりました。
この問題では、地裁、知財高裁では棄却されていたにもかかわらず最高裁判断で逆転している点が注目です。
手続き等の違反案件については、同様の問題の案件においてルール重視か状況を重視かで分けてあります。
死刑観は、死刑に忌避的かどうかを纏めたものです。×は忌避的、△は若干、○は事件の内容次第では死刑も辞さずという感じです。
その他の項では各裁判官が取り扱った特徴的な事件などを挙げています。
「猥褻画像へのURLリンク」「まねきTV」「ウィニー作者幇助事件」などに共通するのは、今後増えるであろうハイテクや新技術に対する理解が裁判官によって大きく異なるという事です。
また「沖縄ノート名誉毀損訴訟(大江健三郎の例のアレ)」などは、思想的な側面も大きく絡んでくる可能性があります。
最高裁判事の情報はあまり多くない為、国民審査公報だけでは足りずに収集分別して表を作るのに苦労します。
本来このようなことはメディア、特にNHKが訳の分からん外国ドラマとか流す暇があるのなら率先してやるべきではないかとおもうのですが・・・
いずれにせよ、最高裁裁判官国民審査は重要です。
この記事が大事な判断の一助になれば幸いです。
【追記】 - 国民審査は棄権できる -
誰を信任したらいいか分からない、でも全員×にするのもちょっと・・・
そんな場合には『国民審査を棄権する』という方法があります。
衆院選での白票投票と異なり、信任投票ですので、棄権は立派な意思表示の一つです。
棄権方法は
投票用紙を受け取る前に「国民審査は棄権します」と宣言するだけ
投票用紙を受け取ってしまった場合は、棄権する旨申し出て投票用紙を返却刷ればOKです。
【関連情報】
(↓昨日の私のツイートを纏めたものです)
「最高裁判所裁判官国民審査の『重要性』と、誰も教えてくれない『棄権の方法』 #seiji」