2010年03月18日

情報リテラシー講座その3 『情報戦では「貴方の心」が攻撃目標 -洗脳だけが攻撃ではない- 』

情報戦は「武器を使わない戦争」です。
そして「戦争とは相手国に攻撃国の意志を力ずくで受け入れさせること」ですので、相手国全体の流れをコントロール出来れば情報戦による勝利と言えます。
守る側は「敵のコントロールを跳ね返し、入り込んだ敵性分子を排除」したら勝利。

攻撃側はあらゆる手段を駆使します。
それは必ずしも相手国の国民を味方に付けるだけではありません。
「相手国の全国民=(1)攻撃国の味方国民+(2)攻撃国の敵国民+(3)無気力・無関心層」の構図があり、攻撃側は(1)>(2)の状態を作り出す事が目的です。
よって、(1)を増やす工作をすることもあれば、(2)を減らす工作に乗り出すこともあり、時には(3)を増やすことによってコントロールの効果を高める場合もあります。
つまり、攻撃側にとって「味方が増えた利敵が減ったら大成功、多くの国民が無気力や諦め、無力感に陥れば工作の成功」なのです。

大抵の方はこの部分の認識が欠けているために、その動きが工作である可能性に気がつきません。

現在で言うなら民主の擁護報道は非常に分かり易い(1)を増やす工作です。
自民をはじめとする野党を貶める報道等も(2)を減らす典型例。
ここまではすぐにわかります。

判りにくく乗せられやすいのは(3)を増やす工作です。

実例を出すなら、直近で言えば「子供手当ての強行採決」。
強行採決しなくても委員会を通る法案を、あえて「委員会レベルで強行採決」しました。
そしてさらに委員会レベルでは通るのが確定している件について「強行採決」と工作員が煽ります。
当然これを見た意識の高い人達は「強行採決なんて横暴な!」と拡散やビラまきに奔走します・・・が結果はすでに決まっているわけです。
自分たちが必死に声を上げたにもかかわらずなにも変わらないで、強引に採択された無力感は計り知れません。
そしてアクティブな人達が無力感にひしがれる中、一番荒れると困る本会議は16日にほとんど波風無く通過しました。
Twitter上でも、強行採決前後では異様な盛り上がりを見せていたにもかかわらず、本会議はほとんど事実を触れる発言が少しある程度まで発言量が低下しました。
これを見ても工作による煽りがあったのは明らかです。
日本が好きで大きな声を上げた人は、当分無力感から立ち直れないでしょう。

もう一つ例を挙げるなら「東京都の青少年健全育成条例問題」
内容は、それはもう最悪というしか無いもので、これを読んで危機感を抱かない人はお花畑に住んでいると言っても良いレベル。
「既存法の運用で対応可能な案件に対して新しい規則を作る」のが「利権のため」もしくは「名目とは別目的のため(弾圧用など)」なのは明らかです。
都の条例改正は「運用者の道徳観を他人に押しつける思想弾圧条例」ですので、「運用者の胸先三寸で他人の人生を破壊することが可能」です。
これを目の前にぶら下げられたら騒ぐなと言う方が無理。
でも、ぶら下げること自体が敵の作戦です。
条例なら可決されても他の県には影響ないので、とりあえず東京から逃げ出しておいて「憲法違反」「思想の弾圧」「言論の自由の封殺」で訴訟すればいい。
被害者がおらず、科学的な根拠もない条例ですから、科学的根拠に基づき「憲法違反」と「人権侵害」で訴えればひっくり返せるでしょう。
たとえば精神医学における変態さんの治療法は「実害のないネタを飽きるまで与える」ことですので、医学的に見ても2次規制すると性犯罪は増える可能性の方が高いですから、「子供を守るどころか危険にさらす!!」とやればよろしい。
そもそも性の問題はコンビニ等で手に入る状態の方がよっぽど異常で、年齢制限や公開に関するガイドラインをきっちりして運用する方が効果的。
さらに、実はロリ大国ではないのに嘘を流している組織があるので、この辺を叩かないと・・・アグネスとかアグネスとかアグネスとか変態新聞とか。
でも、見事に釣られて大騒ぎ、結果として提出見送りで一安心。
精神的にくたびれ果てて、このタイミングで大きな問題が起こっても、条例の件で大きな声を上げた人の動きは極めて鈍くなるでしょう。

前者も後者も、敵の工作は見事に成功しています。
敵の最も大きな目的は「声を上げる人達の心を折る」ことですので。

モチベーションも資源の一つで、回復するとはいえ使えば元に戻るのに時間がかかりますし、無力感を感じれば回復にはより多くの時間がかかります。
中にはモチベーションが回復せず、無気力のままになってしまう人もいるでしょう。
そして敵は(3)を増やすことを達成出来ることになります。

「本筋ではないことを煽って反対派の精神的なエネルギーを消耗させる」
「敗北確定なことを声を上げれば何とかなるかのように煽って反対派に敗北感と無力感を与える」


これらの手法は情報戦の常套手段であり、そのターゲットは「貴方の心」です。

洗脳とかなんとかと言ったレベルではなく「心を折る事」が敵の目的です。
ケンカでも、ボクシングのようなスポーツでも、もちろん戦争でも「心を折られたら、その人は負け」です。

じっくり時間のある時なら別に乗せられてもたいした問題ではないのですが、参院選という本番を控えた現状で心を折られたら、回復が本番に間に合いません。
結果として、優先順位の低い案件のために最重要課題の対応が出来ない事態が起こるわけです。

敵の工作で提示される問題(強行採決、都条例、外国人住民基本法等々)の一つ一つはとても重要なことです。
しかし我々には残念なことに現状では時間や気力といったリソースが不足しています。

こういった場合、「優先順位を付ける」ことを心がけましょう。

既出の『近未来予想図』でいうなら、攪乱作戦に使われるネタの優先順位は以下の通り。

人権擁護法>>>>外国人参政権>(越えられない壁)>>>都条例、強行採決、外国人住民基本法等

何か大問題の情報に出会ったら、
「これは今話すべきことか?」
「タイムリミットはいつか?」
「仮に問題が起こっても、訴訟等事後の対処でリカバー可能か?」
と言った点を検討してみてください。
ゆめゆめ、本番で電池切れになって後悔することのありませんように。
posted by FumiHawk at 11:08| Comment(12) | TrackBack(0) | 情報リテラシー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年03月01日

2月28日開催:保守系向けセミナーのヘッドライン

昨日(2010/02/28)銀座で開催した、保守系向け情報リテラシーセミナーを開催いたしました。
以下にセミナーのヘッドラインを掲載します。
(ネットで書けない内容があるからだけど、忙しくて記事が書けないとも言う)


【鳩山・小沢問題について】

 ・ 鳩山・小沢問題は、国税マターや検察マター「ではない」

 ・ 北海道の日教組にまつわる問題との関連性


【米軍基地問題について】

 ・ 米国は現状の基地が使えれば問題ない(移転しなくてもいい)

 ・ 米国は戦略的に基地の場所として「沖縄およびその近海以外は問題外」

 ・ 基地移転はあくまで日本の都合

 ・ いくつか問題を解決する案はあるが、小沢側としては現時点では辺野古案一択

 ・ 小沢氏の購入した辺野古の土地は献金等に比べ大きな利益は出ず「利殖目的ではない」

 ・ 所有地の位置、形状、周辺環境を考慮した場合に推定される利用目的


【偏向報道問題について】

 ・ 放送局を守る放送法自体が、放送局の首を絞めている

 ・ 今後大きな変化がない限り、マスメディアは基本的に保守の敵であると考えるのが妥当

 ・ 先進国に於いて情報戦の主力となるメディアが全て敵の手にある状況で、
   保守勢力が情報戦を仕掛けた例はない


【次期参院選について】

 ・ 保守勢力全体として現状は極めて厳しい

 ・ 保守同士が(結果的に)足を引っ張り合う展開が予想される

 ・ 保守勢力にとって、全体を俯瞰して戦略・戦術を立てる組織や、その策を実行する手足がない

 ・ 既に保守の活動の一部に工作員が潜入している例が見受けられる

 ・ おQ層の説得は極めて時間がかかるため、参院選対策としては下策

 ・ ビラまき等は、内容次第で逆に敵を作ることもあるので、内容の吟味が必要

 ・ 今後のためにも、現時点では「保守の緩やかなネットワークの構築」が最重要課題

 ・ ネットではなく、手の届く範囲でのネットワーク(家族、友人等)を作ること、そして選挙へ行かせること

 ・ 小さなネットワークは若年層(〜40代)で特に重要、この層は投票率が低い

posted by FumiHawk at 14:23| Comment(2) | TrackBack(0) | 情報リテラシー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年02月17日

情報リテラシー講座その2 『騒ぎの裏で事件は起こる -目くらましは情報操作の常套手段- 』

前回の講座(情報リテラシー講座その1「人は無色透明な事実より、好みの色の真実を見たがる」)は、情報リテラシーの一番の基礎となる以下の3点について書きました。

「世の中には無色透明な情報は滅多にない」=情報には必ずバイアスがかかっている

「事実は一つでも、真実は見る角度によって異なる」=同じ情報でも、取材者、発信者、読者の立ち位置によって伝わる内容に差が出る

「人は無色透明な事実より、好みの色の真実を見たがる」=複数の情報があった場合、自分の心情に近い情報を重要視しやすい


「情報リテラシーを身につける」とは、情報が如何に伝わってきているかを知る事でもあります。
その中でも重要なのは「調べるスキル」です。
どんな情報でも素のままではなく、ちょっと掘り下げて調べてみると本当の姿が見えます。
もちろんそれだけで騙されなくなるわけではありません。
ただ、情報リテラシーが高ければ、不本意な選択をする事は格段に少なくなります。

と言うわけで第2回の今回は、広く行われている手口の実例の一つをご紹介。
テーマは「目くらましは情報操作の常套手段」です。

昨年の衆院選で民主党政権が誕生したあと、新政権が最優先で行った事の一つが「平成21年度補正予算の執行停止」(*1)でした。
これは子供手当ての財源を捻出するために行った事で、当時最優先されるべき景気対策を無視した行為は株価の急落となって日本経済に深い傷を残しました。
さて日本経済の傷はともかく、この執行停止で一番話題になったのは厚生労働省の分です。
なぜなら、報道された厚労省の執行停止分には「未承認薬・新型インフルエンザ等対策基金679億円」(*2)が含まれていたからです。
インフルエンザが蔓延中にもかかわらず「未承認薬・新型インフルエンザ等対策基金679億円」を削るとの情報を見たネットユーザーは驚愕し、Blogや掲示板等に「インフルエンザ対策を削るなんてアホか!」との悲鳴があふれました。
結局、政府からの情報で「ワクチンは確保する」との報道がなされ、これらの騒ぎは徐々に鎮火。
最終的にはインフルエンザがそれほど問題にならなかったため、忘れ去られる事になりました。

で、この流れのどこに情報操作があるかというと、ずばり「未承認薬・新型インフルエンザ等対策基金」という項目名です。
厚労省が執行停止の内訳概要をPDFで公開した当時に、当方で分析した資料から表を下に引用します。

平成21年度補正予算執行停止内訳.jpg


基金で複数年執行する(要は一部先送り)未承認薬の開発支援も含めた誤魔化しのない数字にしていますので、報道の679億より大きくなっていますが、削減対象に直接的なインフルエンザ関連費用はありません。
新型インフルエンザ対策事業(1,279億円)の一部がワクチン確保に流用されたという変更などはありますが、ネットで騒ぎになったような事実はありません。

但し、表の意味するところはそれよりずっと残酷です。
なぜなら削減された項目は、新薬や未承認薬が必要な患者の多くにとっては生命を左右しかねない問題だからです。

がん、小児等の疾患重点分野における適用外薬の開発支援はほぼ9割の執行停止ですので事実上の廃止で、この執行停止でそれまで検討してきた44品目を9品目に絞り込まざるを得なくなりました。
未承認薬の開発支援も約7割の執行停止で、適用外薬と同様です。

同時に医薬品等の審査の迅速化予算も6割ほど削減されており、タダでさえ遅いと言われている薬の承認作業は当分改善しそうにありません。

ではなぜこれらの予算が執行停止やり玉に挙がったのか。
それはこれらの項目が「単年度で終わらず、結果が出るのに時間がかかる」からです。

今回の執行停止は、恒久的な支出となる子供手当ての財源確保が目的です。
と言うことは、「単年度のみで支出が終わる予算を削っても意味が無い」のです。
何度も大騒ぎをするなら、本筋ではない騒ぎを起こしてそちらに目を向けさせ、その隙に本命の問題を通してしまう。
まさに目くらまし戦術です。

そして、その方針は「票になりにくい、こどもや病人といった弱者の切り捨て」であることは一目瞭然。
・・・なのですが、当時はまったく話題にもされませんでした。

このように目くらまし戦術は案外有効でして、結構情報に詳しい人でも盲点だったりするようです。
実は先日Twitterでお会いしたある方がこの点をご存じなかったので、情報拡散にご協力頂きました。


ここで話が終わると「弱者切り捨てじゃない、この結果は補正予算だからだろ!」と言う反論が来るでしょうから、当方で以前まとめた「平成22年度予算案の主要事項一覧表」のPDFも掲載しておきます。
この本予算案は例の事業仕分けをしたあとに作成されていますので、ここに民主党の本音が隠れているわけです。


平成22年度厚生労働省予算案の主要事項一覧表(増減及び増減率を算出して追加)[pdf]


厚労省の事業仕分けは12月12日、上記一覧の元である厚労省作成のPDF資料(平成22年度厚生労働省所管予算案関係)の公開日は仕分け後の12月25日ですので、事業仕分けの結果も加味した物になっています。
ちなみに平成22年度予算案は、平成21年8月に作られたものが政権交代で廃止、新政権で10月に再作成されたものの事業仕分けがあったため、事業仕分け後に再々作成されています。

平成22年度予算案(再々作成版)は27兆5,561億円で、再作成の概算要求からは1兆3333億円減(-4.6%)です。
とは言うものの、前年予算(25兆1,568億円)からみると2兆3,993億円増(+9.5%)と実は増えています。
あれだけ赤字国債発行しているのだから当たり前ですが。

そして予算が1割近く増えている状態で大きく減っている項目は、民主党にとって重要ではない項目、つまり「民主党が国民に犠牲を強いる対象」ということになります。
逆に、1割を大幅に超えて明らかに伸びている項目は、民主党にとって重要な項目であると言えます。

以上を踏まえた予算案のポイントを簡単にまとめると、以下の通り。


・大きく伸びた項目の中での目玉(民主的に)はもちろん
 「子ども手当の創設(1兆4722億2800万、新規)」

・その他上昇率ベースでの注目は
 「緊急雇用対策(7335億500万、+86.73%)」
 「雇用創出(5486億3600万、+83.16%)」辺り

・総額が増えてるのに10%以上削減されている予算で注目すべき項目は、
 「安全で良質な水の安定供給(-195億6100万、-41.53%)」
 「医師確保・医療人材確保対策等の推進(-101億1800万、-27.35%)」
 「若者・女性・高齢者・障害者等の就業実現及び両立支援(-331億4000万、-26.44%)」
 「発達障害者等支援施策の推進(-1億2900円、-17.22%)」
 「健康危機管理体制の強化・推進(-9400万、-13.17%)」
 「自殺対策の推進(-2億400万、-12.70%)」
 「労働災害の防止、労働者の心身の健康確保のための対策(-8億4000万、-10.99%)」等

・削減比率等は小さいものの気になる項目は、
 「医薬品・医療機器の開発促進及び安全対策の推進等(-27億3100万、-7.98%)」
 「救急医療・周産期医療の体制整備等(-22億5700万、-5.09%)」
 「食の安全・安心の確保(-3700万、-0.25%)」
 「ハンセン病対策の推進(-15億900万、-3.71%)」といったところ。



こう並べてみると、なんとまあ・・・冷酷な予算構成なんでしょう。
項目をよく見ると「女性」「病人」「障害者」「安全」「自殺防止」「労災防止」といった弱者対策、安全対策、医療の安全性に対する予算が、削減が中心であることが見て取れます。
これでは「埋蔵金ひねり出すために、弱者と安全を切り捨てた」と言われても反論出来ないですな。
これも「事業仕分け」という演劇並の目くらましを使った同様の戦術です。

このように、「たいして中身が無いが大きな注目を浴びている話題」がマスコミを賑わせている時には、本命が隠れていることがよくありますので、どうか皆様ご注意を。



(*1)『民主、補正予算を原則全面停止…未執行分』(読売オンライン)
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20090830-592896/news/20090903-OYT1T00522.htm

(*2)『適応外使用薬の開発支援653億円が執行停止‐補正予算見直しで』(薬事新報)
http://www.yakuji.co.jp/entry16797.html
posted by FumiHawk at 02:51| Comment(10) | TrackBack(0) | 情報リテラシー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする