2011年10月13日

環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)私訳 『第11章 政府調達』

『TPPが日本を壊す』が現在入手しにくくなっているようですので、
同書に掲載した、TPPメインアグリーメント第11章の私訳文を公開します。

なお、他のTPPメインアグリーメントの他の章、及びTPP関連の発言については、
『環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)関連情報のまとめ』のエントリーをご参照ください。

注)この訳文は当ブログ独自で行ったものです。
   著作権は放棄しませんが、非商用のみ自由引用とします。
   引用する場合、トラブル防止の為必ず出典を明記して下さい。






環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)『第11章 政府調達


■第1条 定義

 この章において、

「建設・運営・譲渡契約(BOT契約)」並びに「公共事業営業権委託契約(コンセッション契約)」とは、契約上の取り決めを意味する。
それは、物的なインフラ、設備、建築物、施設や他の政府保有工場の建設又は修復を行うことを主要な目的とし、契約上の取り決めの供給業者による遂行への配慮として、事業体が供給業者に、特定の期間、一時的な所有権を、又は運営と管理をする権利、そして契約期間中当該工場の使用に支払いを求める権利を与える取り決めである。

「事業体」とは、第11章の付属書Aに列挙する事業体を意味する。

「政府調達(調達)」とは、事業体が産品やサービスを購入する過程を意味する。

「政府調達関連措置」とは、政府調達に関連して一般的に適用される法令、規制、政策又は手続を意味する。

「減殺」とは、現地調達、技術供与、投資条件、見返り貿易又は類似の要件を使って、国際収支決算の改善、あるいは地域開発の促進をするために用いられる条件を意味する。

「公示する」とは、一般市民が簡単に入手可能で、広範に行き渡る紙媒体や電子媒体の情報を広めることを意味する。

「供給業者」とは、事業体に産品やサービスを提供する、又はできる可能性がある加盟国の自然人もしくは法人を意味する。

「技術仕様」とは、入札要件を意味し、

(a) それが示す特徴は、

 (@) 調達される産品の、品質、性能、安全性及び寸法、又はその生産方法や過程。あるいは、
 (A) 調達されるサービスの、適用される管理規定を含む、供給の方法又は過程。

(b) 専門用語、記号、包装、証票又はラベル付けに係わる要件を、産品やサービスに適用する通りに述べる。もしくは、

(c) 事業体が規定する適合性評価手続を示す。


■第2条 目的

 この章の目的は、透明性、金額に見合う価値、開かれた効果的な競争、公正な取引、説明責任と適正手続き、並びに無差別の基本的原則に従って政府調達を行うことの重要性を認識することである。


■第3条 範囲

1 この章は、購入及び(購入を選択する権利の有無を問わず)レンタル又はリース、建設・運営・譲渡契約並びに公共事業営業権委託契約を含む契約方法による政府調達に関係する加盟国が採択または保持する措置に適用する。当該契約は、

 (a) 第11章付属書Aに列挙する事業体と、後に企業化や営利化または民営化されるもの以外のこれら事業体の後任者による。

 (b) 第11章付属書Cに示す通りに各自の通貨に換算した、関連する閾値以上の価格である。そして、

 (c) 付属書において規定するその他の条件を前提とする。


2 この章は、以下のものには適用しない。

 (a) 加盟国の事業体による、その加盟国の他の事業体からの、産品やサービスの購入または獲得。その加盟国が、入札が行われるところ以外なら、この章を適用する。

 (b) 対外援助、助成金、借款、株式注入、財政的インセンティブ、補助金、保証、共同契約、財政援助の取り決め、そして政府による産品やサービスの供給を含む、人または政府当局へのあらゆる形式の支援、又は契約外の合意

 (c) 国際的な助成金や借款または他の支援で賄われる購入。ただし、当該支援の供給がこの章の規定に相反する条件に従っている場合。

 (d) 調達側加盟国の領域外での消費のための、調達側加盟国の領域外での(建設を含む)産品やサービスの調達。

 (e) 公債のための販売と流通のサービス、監督金融機関のための清算と管理のサービス、並びに保管サービス又は財務代理の獲得。もしくは、

 (f) 公務員又は他の長期スタッフ・職員の雇用、及び関係する雇用対策。


3 各加盟国は、その事業体が、調達のいかなる段階でも、この章の義務を回避するために、調達を準備、計画、乃至構築、あるいは分担しないようにする。



■第4条 内国民待遇及び無差別待遇

1 この章で取り扱う政府調達に関する措置について、各加盟国は、他の加盟国の産品、サービス及び供給業者に、国内の産品、サービス及び供給業者に認めているのに劣らない待遇を与える。

2 この章で取り扱う政府調達に関する措置について、加盟国はその事業体に以下のことを許さない。

 (a) 他加盟国の人による所有権又は他加盟国との海外提携の度合いを理由とした、地元の供給業者に対する、地元の別の供給業者以下の待遇。あるいは、

 (b) その供給業者が提供する産品又はサービスが、別の加盟国の産品又はサービスであることを理由とした、地元の供給業者に対する差別。


3 加盟国は企業を、自身がその企業の株主であるかどうかに関わらず、特別扱いしない。


4 本条は、輸入に関連する又は課するあらゆる種類の関税及び課徴金、当該関税及び課徴金を徴収する方法、他の輸入規制に関する措置、もしくはこの章で取り扱う調達を具体的に統制する措置以外のサービスの貿易に影響を及ぼす措置には適用しない。



■第5条 原産地規則

 政府調達のために輸入される産品に適用される関税を決定することを唯一の目的として、加盟国団は、他の目的のための産品の輸入に適用される関税を決定するために使うのと同一の原産地規則を適用する。



■第6条 減殺の禁止

 各加盟国は、調達のいかなる段階でも、その事業体が減殺を課さない、求めない、あるいは検討しないよう努める。



■第7条 情報の非公開

1 加盟国団、その事業体及び審査機関は、法律の定める場合を除き、情報を提供した供給業者の書面による許諾なしに、特定の供給業者の正当な商業的利益を害する恐れのある、あるいは供給業者間の公正な競争を毀損する可能性のある機密情報を開示しない。

2 この章のいずれも、加盟国やその事業体に、その開示が法の執行を妨げるか、さもなければ公共の利益に反する恐れのある機密情報を開示するよう要求するものとは解釈しない。



■第8条 政府調達についての情報の公示


 各加盟国は、

(a) この章で取り扱う政府調達に関連する措置と、

(b) 当該措置のあらゆる改正を、元となる公示と同じ方法で、

直ちに公示する。



■第9条 技術仕様

1 各加盟国は、その事業体が、加盟国間の貿易に不必要な障壁を作るという目的又は効果を伴う技術仕様を準備、採択、あるいは適用しないよう努める。


2 事業体が指示する技術仕様は、必要に応じて、

 (a) デザインや記述的な特徴よりも、性能や機能条件の観点から規定する。そして、

 (b) 適用可能なら国際標準を、さもなければ国家技術規則、公認の国家規格、あるいは建築基準法を基にする。


3 各加盟国は、自国の事業体が、特定の商標又は商号、特許、デザイン又は型式、具体的な原産地や生産者又は供給業者を要求する、あるいは引き合いに出すよう、技術仕様に定めないようにする。ただし、他に十分に明確な又は理解しやすい調達要件の説明方法がなく、そしてそのような場合に、入札説明書に例えば「または同等のもの」のような文言が含まれている場合を除く。


4 各加盟国は、そうすることが公平な競争を阻害する恐れがある場合、特定の調達のための技術仕様の準備または採択に使用される助言を、その調達に商業的利害関係を持つ可能性のある人から受けない、あるいは求めないようにする。



■第10条 契約の査定

 この章を履行するために契約額を算定しているとき、事業体は、オプション購入・割増料金・使用料・手数料・利息と収入源、もしくは当該契約に規定されている他の形式の報酬を含む、全期間中の調達の最大見積総額を査定の基準として用いる。



■第11条 入札手続

 第11章第18条に規定されている場合を除き、事業体は、関係供給業者が入札を申請できる、もしくは調達の参加条件を満たすために申し込める間に、一般競争入札手続を用いて契約(※注)を発注する。

(※注 加盟国団は、産品とサービスが元の契約と同一の諸条件で事業体に利用可能になると定めるこの章、特に第10条に従って発注される契約に基づく更なる調達は、この章に沿っているとみなされると理解する)



■第12条 調達予定の案内

1 この章で取り扱う各調達のため、事業体は、第11章第18条に規定されている場合を除き、関係供給業者に入札を申請する、もしくは調達の参加条件を満たすために申し込むよう勧める、調達予定の案内を前もって公示する。


2 調達予定の各案内の情報は、予定する調達の説明、入札申請の期限を含む調達に参加するために供給業者が満たさなければならない条件、そして全ての関係資料を得るための連絡先の詳細を含む。


3 事業体は、加盟国の関係供給業者に、出来る限り広範で差別のない入手機会を与える方法を通じて、時宜に適った方法で案内を公示する。これらの方法は、第11章付属書Bに規定する、単一の電子アクセスポイントを通して、入札のために設けられた全期間中、無料でアクセス可能とする。


4 調達の過程において、事業体が調達予定の案内で言及する基準を変更する場合、事業体は、全ての当該変更を文書で、

 (a) もし身元がわかっていれば、基準が変更された時点で調達に参加している全ての供給業者に、そして、その他の場合には、元となる情報を発信したのと同じ方法で、

 (b) 必要に応じて、当該供給業者がその入札を変更し再申請するために十分な時間を見込んで、

 公示、もしくは発信する。


5 1に基づく各調達予定の案内は、全加盟国の関係供給業者に、完全な入札説明書を得るため、そして締切日までに要件に対応した入札の準備と申請をするため、もしくは必要に応じて調達への参加を申請するために、調達の性質・環境・複雑性を考慮して十分な期間を提供するため、十分に前もって公示する。


6 5に関わらず、事業体は、調達予定の案内が公示される日付と入札申請の最終期日の間に、最低でも10日間を設ける。



■第13条 入札説明書

1 供給業者に提供される入札説明書は、調達契約発注のための必須条件と評価基準を含む、要件に対応した入札の準備と申請を業者に可能にするために必要な全ての情報を含む。


2 契約する事業体が、電子的手段による全ての入札書類と付属書類への直接のアクセスを提供しない場合、事業体は、加盟国の供給業者の要求に応じて、入札説明書を直ちに入手可能にする。


3 事業体は、供給業者がする関連情報や説明の妥当な要求に、直ちに答える努力をする。ただし、当該情報がその供給業者に、契約発注の手続において、競争相手に対する優位を与えないことを条件とする。供給業者に提供するその説明や情報は、入札に招かれる全ての供給業者にも提供可能とする。

4 調達の過程において、事業体が入札説明書の必須条件と評価基準を変更する場合、事業体は、全ての当該変更を文書で、

 (a) 基準を変更した時点で入札説明書を要求している全ての供給業者に、そして元となる情報を発信したのと同じ方法で、

 (b) 必要に応じて、当該供給業者がその入札を変更し再申請するために十分な時間を見込んで、

 公示、もしくは発信する。



■第14条 契約の発注

1 加盟国団は、その事業体が、調達過程の公正と公平を保証する手続に基づく全ての入札を受理し、公開し、評価するよう努める。

2 発注が考慮されるためには、開始時点で、入札が調達予定案内または入札説明書の必須条件に従っていなければならず、参加条件を順守する供給業者により申請されなければならない。


3 事業体が契約を発注することが公共の利益にはならないと決定しない限り、その事業体は、入札説明書に記載する必須条件と評価基準の観点から契約を請け負う完全な能力があると決定され、その入札が最も優れた費用対効果をもたらす、もしくは最も都合が良いと決定される供給業者に契約を発注する。


4 事業体は、この章の要件を回避するためにこの章で取り扱う調達を破棄しない、あるいは発注された契約を解除もしくは変更しない。



■第15条 発注後情報

1 事業体は、契約発注決定を直ちに公示、又は入札を申請している供給業者に通達する。


2 事業体は、入札失敗業者からの要請に応じて、その入札を不合格にした理由、もしくは事業体が選んだ入札の相対的な優位性に関する適切な情報を直ちに提供する。


3 事業体は、この章で取り扱う調達のための契約発注後直ちに、最低でも次の情報を含む通知を公示する。

 (a) 落札業者の名称及び住所。

 (b) 供給される産品やサービスの説明。そして、

 (c) 契約発注の価格。



■第16条 参加条件

1 事業体が供給業者に、調達への参加を許可する前に、登録、資格又はその他の条件を満たすよう要求する場合、各加盟国は、登録、資格又はその他の参加条件を供給業者が満たしていることの証明を申請するよう供給業者に働きかける案内を、関係供給業者が要件に対応した申請を準備及び提出できるよう、そして事業体が当該申請を基にして評価及び決定できるように、十分に前もって公示するよう努める。


2 事業体は、特定の調達に未登録又は無資格の別の加盟国の供給業者が調達への参加を希望するなら、その参加を検討する。ただし、契約発注前に登録又は資格手続きを完了する十分な時間があることを条件とする。


3 財務保証と技術資格、資格証明に加えて供給業者の財務能力・商業的能力・技術的能力を立証するために必要な情報を含む、調達の参加条件は、問題の契約を果たすための企業の能力を保証するために必要不可欠なものに限る。供給業者の財政的・商業的・技術的能力は、その供給業者の国際的ビジネス活動及び調達する事業体の領域での活動の両方を基にして、供給組織間の法的関係に十分に配慮して裁定される。


4 本条の如何なる規定も、事業体が、例えば破産、清算、支払い不能又は調達に関する不正申告、もしくは以前の契約に基づく義務の履行における明らかな欠陥等を理由に、調達から供給業者を除外することを妨げない。



■第17条 登録済または有資格の供給業者のリスト

1 事業体は、調達に参加する登録済又は有資格の供給業者のリストを、継続的な使用のために作成できる。登録済又は有資格の供給業者の最新リストは公的に入手可能とする。事業体は、供給業者がいつでも登録済又は有資格の供給業者のリストへの参加申請ができるよう、そして全ての有資格申請者が、参加条件と証明の必要を考慮に入れて、妥当な期間内にリストに含まれるように努める。事業体が供給業者に、調達への参加を許す前にこうしたリストに必要な資格の取得を求める、そして、前もって当該要件又は条件を満たしていない供給業者が申請を提出する場合、発注のために設定された期間内に登録又は調達の手続を完了する十分な時間があるならば、事業体は、登録又は資格の手続を直ちに開始し、当該供給業者に調達への参加を許可する。


2 事業体は、リストへの掲載を申請するよう供給業者に働きかける案内を毎年公示する。さもなければ、電子形式で継続的に入手可能にする。その案内が含むのは、

 (a) 供給業者のリストが利用され得る産品やサービスの説明。そして、

 (b) 登録済又は有資格の供給業者のリストに掲載されるために供給業者が満たすべき条件。


3 事業体は、有資格供給業者に登録済又は有資格の供給業者のリストからの除外または掲載終了を通知し、この行動の理由を述べる。



■第18条 一般競争入札の例外

1 入札手続が競争を避けるため又は国内の業者を保護するために使用されないことを条件に、事業体は、次のいずれかの状況において、一般競争入札手続以外の方法で契約を発注できる。その状況とは、

 (a) 一般競争入札手続に基づく入札への招待、参加の招待、あるいは事前の案内に応えて、

  (@) 入札が申請されなかった場合。
  (A) 入札説明書の必須条件に従った入札が申請されなかった場合。あるいは、
  (B) 参加条件を満たす供給業者がいなかった場合。そして、
 事業体は発注時に、契約における調達の必須条件を大幅に変更しない。

 (b) 芸術品のため、もしくは特許や著作権のような独占権の保護に繋がる理由のため、又は技術的理由のために競争がない場合に、産品やサービスが特定の供給業者によってのみ供給でき、妥当な代替手段や代替物が存在しない場合。

 (c) 供給業者の変更が調達する事業体に、既存の機器、ソフトウェア、サービス又は設備の、あるいは本来の供給業者の保証に基づく条件の互換性要件を満たしていない産品又はサービスを調達することを余儀なくさせる場合の、既存の機器、ソフトウェア、サービス又は設備のための部品交換、増設、継続的サービス又は改修改善のいずれかを意図する最初の供給者による追加の配送のため。

 (d) 商品市場で購入される産品のため。

 (e) 調査、実験、研究又は独自の開発のための特定の契約を理由に、そしてその契約の過程で、その要求で開発される試作品や、最初の産品又はサービスを事業体が調達するとき。当該契約が果たされている場合、当該産品又はサービスのその後の調達は、この章で策定する原則と手続に従う。

 (f) 当初の契約には含まれていないが、元となる入札説明書の目的の範囲内である追加の建設業務が、予測不可能な状況により、そこで説明する建設業務を完了するために必要になったとき。ただし、追加の建設サービス発注の契約総額が、主契約額の50%を超えないことが条件である。

 (g) 厳密に必要とする限りにおいて、事業体による予測不可能な出来事がもたらすきわめて緊急の理由のため、一般競争入札手続では産品又はサービスの入手が間に合わず、当該手続の利用が事業体、事業体の計画責任又は加盟国に深刻な被害をもたらす恐れがある場合。この項目(g)において、事業体又は利用可能な資金量に関する事業体の懸念による事前計画の不足は、予測不可能な出来事の構成要素とはならない。

 (h) 例えば清算、破産又は管財人の権限によって生まれるような特殊な売却又は公開競売を含む、ごく短期間にのみ生じる例外的に有益な条件に基づく仕入れのため。この規定は、正規の供給業者からの定期購入を取り扱うことを意図しない。

 (i) デザインコンテストの勝者に発注される契約の場合。ただし、そのコンテストがこの章の原則と一致する方法で開催され、勝者に発注される設計契約を目的として独立した審査員によって裁定されることが条件である。


2 加盟国団は、1に説明する状況を理由に一般競争入札手続以外の手順に頼ることが事業体に必要なときはいつでも、事業体が、契約のための具体的な正当性をもたらす報告書又は記録を用意・保管するようにする。



■第19条 調達に関する慣行の廉潔性の保証

 各加盟国は、刑事処分又は行政処分が、政府調達における汚職に対処するために存在するように、そして自国の事業体が、調達に従事する又は影響を与える側のもの達に関する利害衝突の可能性を排除するための手続と方策を整えるように努める。



■第20条 供給業者の苦情についての国内審査

1 各加盟国は、事業体が、供給業者が利害を有する又は有していた調達を背景に生じる、この章を履行する措置の違反・不履行疑惑に関する供給者からの苦情に対して、公平で時宜に適った判断を与えるようにする。必要に応じて、加盟国は供給業者に、当該苦情の解決の円滑化を目的として、事業体から釈明を要求するよう奨励する。


2 各加盟国は、関係者が利害を有する又は有していた調達を背景にした、調達について調達側加盟国が有する法令、規制、手続及び慣行に対する違反・不履行疑惑の苦情を聴取又は審査する資格のある行政機関や裁判機関への差別のない、明白で時宜に適った、そして効果的なアクセス方法を、他の加盟国の一供給業者にでも提供する。


3 各加盟国は、苦情処理制度に関する情報を一般に入手可能にする。


4 この章を履行する措置の違反・不履行のための補償金は、調達のために供給業者が合理的に負担する入札準備費用までを限度としてよい。



■第21条 調達における電気通信使用の奨励

1 加盟国団は、インターネット又はコンピューターを使った類似の電気通信網を通して政府調達の請負をする機会を与えるよう努める。


2 この章に基づき供給業者の商機を促進するため、各加盟国は、その領域における政府調達の供給機会に関する包括的な情報にアクセスするための単一の電子窓口を維持する。そして、政府調達に関係する措置についての情報を入手可能にする。供給業者が政府調達に関する情報を手に入れる複数又は単一の連絡地点は、第11章付属書Bに規定するか、それとも単一の電子窓口に関する情報で示す。


3 加盟国団は、可能な限り、入札の受領書と入札文書の提供のために電子的手段を利用するよう奨励する。


4 加盟国団は、以下のような調達における電子的手法を使用するための政策及び手続の採択を確実にするよう努力する。

 (a) 権限のない未検知の変更から資料を保護する。そして、

 (b) 調達する事業体のネットワークを通した、そしてそれに関するデータのための適切なセキュリティレベルを提供する。


5 各加盟国は、自国の事業体に、2に言及する電子窓口において事業体の示す調達計画に関する情報を、会計年度にできるだけ早く公示するよう奨励する。



■第22条 例外

1 この章の如何なる規定も、武器、弾薬又は軍需物資の調達、又は国家安全保障や国防目的のために不可欠な調達に関係する最も重要な安全保障上の利益の保護のために必要とみなされる情報の、加盟国による非公開や対応処置を妨害するとは解釈されない。


2 同一の条件が普及する加盟国間の恣意的な又は不当な差別の手法、又は加盟国間の貿易に関する虚偽の制限を構成する恐れがある方法で当該措置が適用されないという要件を前提として、この章の如何なる規定も、加盟国による次のような措置の採択や維持を妨害するとは解釈されない。その措置とは、

 (a) 公序良俗や治安を守るために必要である。

 (b) 人間、動物又は植物の生命あるいは健康を守るために必要である。

 (c) 知的財産を守るために必要である。または、

 (d) 障害者の、又は慈善的・非営利的施設の、あるいは囚人労働者の産品やサービスに関係する。


3 加盟国は、2(b)が人間、動物又は植物の生命あるいは健康を守るために必要な環境対策を含むことを理解する。



■第23条 付属書の変更と訂正

1 加盟国は、第17章第2条(委員会の機能)に則ってこの章に基づく範囲を変更できる。ただし条件として、

 (a) 他の加盟国団に変更を通知する。そして、

 (b) 変更に先立って存在した範囲と同程度の水準の範囲を維持するために、範囲に対する適切な補償調節を、当該通知の日付から30日以内に他の加盟国団に提供する。


2 1(b)に関わらず、この章に基づく範囲の加盟国による変更が次のものに関係する場合、補償調節は他の加盟国団に提供されない。それは、

 (a) 営業・商業活動又は事業体やそれに関する部分の機能のいずれかが、加盟国政府から切り離されはっきりと区別される合法的事業体と共に、企業として設立又は構成される状況。なお、政府が前述の合法的事業体の株式や所有権を有するかどうかは関係がない。もしくは、

 (b) (a)に基づくものを含む、第17章第2条(委員会の機能)に沿った実行の取り決めを通して作成される、第11章付属書A又はBの微修正及び全く形式的な性質の訂正。

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2011年07月11日

『Twitter発言のまとめ』のまとめ・その1

最近忙しくてまともにBlogの記事が書けていません。
とは言うものの、Twitterの方ではちょこちょこ発言しており、有り難いことにその発言をTwitter発言まとめサービス「Togetter」で纏めて下さる方がいらっしゃいます。
自分でまとめたものも一つだけありますが(^^;

で、『Twitter発言のまとめ』を記事としてまとめて見ようかと。

各まとめをテーマ別に分け、タイトルとURLを載せてあります。
一番古いのは昨年の春ですので、およそ1年前になります。
発言はリアルタイムに進行中の問題に対して行った物が多く、現在では若干見解の違うものもありますが、その時点での考察として意味があるので、そのようなまとめも含めてとりあえず目についたものを載せてあります。
TPP関連は当BlogのTPPまとめ記事に掲載してあるのでここでは取り上げませんでした。

テーマは雑多ですが、興味のある内容のまとめがありましたら、まとめサイトの該当ページへ移動してお読み下さい。


【政治関連】

 ●FumiHawk氏の「民主主義における選挙の本質は『よりマシな政治家を選ぶこと』とその理由」
  http://togetter.com/li/35362

 ●外国人からの献金を禁止する本来の意味(FumiHawk氏のTLより)
  http://togetter.com/li/108957

 ●FumiHawk氏によるやさしい選挙違反通報ガイド、実例つき。
  http://togetter.com/li/34375

 ●FumiHawk氏の改正刑法(「不正電磁的記録に関する罪」)まとめ
  http://togetter.com/li/150511

 ●議員さんとお父さんのための「スーツでノーネクタイ」クールビズTips
  http://togetter.com/li/159909


【経済・国際関連】

 ●FumiHawk氏の『上海怖いってかヤバい』
  http://togetter.com/li/44120

 ●為替介入は今すぐすべき?
  http://togetter.com/li/44599

 ●@FumiHawk氏と@HRS_Chirashi氏が語る、
   初夏の怪談・スペインおよび欧州経済の危機 《追加あり》
  http://togetter.com/li/138714

 ●続・@FumiHawk氏と@HRS_Chirashi氏が語る、
   初夏の怪談…コモディティ価格の変動及び世界経済の危機
  http://togetter.com/li/148485

 ●青木文鷹@FumiHawk氏が分析するエジプト民衆デモの原因
  http://togetter.com/li/96026


【口蹄疫関連】

 ●消毒薬の備蓄について@FumiHawk
  http://togetter.com/li/20520

 ●口蹄疫 手足口病感染例との混乱・誤解について
  http://togetter.com/li/19010

 ●「小沢の口蹄疫消毒薬横流し」と口コミの怖さ
  http://togetter.com/li/20461


【東日本大震災関連】

 ●石原都知事「早々に駅シャッター閉めてるとはJR東けしからん!」に物申す (FumiHawk氏のTLより)
  http://togetter.com/li/111514

 ●東日本大震災に対しての責任の取り方を間違えている菅民主党内閣。
  http://togetter.com/li/136893

 ●(FumiHawk氏)それでも東電を潰してはいけない理由
   −法治国家として被災者救済の為にどうすべきか−
  http://togetter.com/li/136897

 ●FumiHawkさんの脱原発急進派への懸念
  http://togetter.com/li/149240


【その他】

 ●FumiHawk氏の「中国人船長の釈放についての考察」
  http://togetter.com/li/53367

 ●FumiHawk氏が考える『海保職員を守る為の抗議先』とその理由
  http://togetter.com/li/67614

 ●青木文鷹@FumiHawk氏の
   「法の厳格運用でパチンコ問題は解決!(目的達成には効果的な道筋探しが1番)」
  http://togetter.com/li/125153
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2011年03月08日

FM・NACK5番組出演の文字起こし 〜TPPについて〜

 Twitterでは告知させて頂いたのですが、去る3月4日(金)23時放送のFM・NACK5セイタロウ&ケイザブロー おとこラジオ」に電話出演いたしました。
 この回は『権力』がテーマだったのですが、その中でTPPついて取り上げる部分があり、「TPPが日本を壊す」監修として私が電話出演いたしました。
 が、いかんせんNACK5は埼玉を中心とした関東圏でしか聞く事が出来ません。
 さてどうしたものかと思っていたところ、放送を視聴した方が電話出演部分を文字起こしして下さいました。
 このエントリーでは、文字起こしされた『つくちゃん』様のご承諾を得て、『“Eye of the Doppelganger”別館』より文字起こし部分を転載させて頂きました。
 10分程の短時間ゆえ、出来るだけコンパクトに要点のみをまとめた内容ですので、TPPに関する知識の入り口として活用して頂ければ幸いです。


――今週のおとこラジオは、『権力』をテーマにお送りしています。ここからは、3月2日に扶桑社から出版、『TPPが日本を壊す』の監修を務められたアナリストの青木文鷹さんにお話を伺ってまいります。それでははじめましてケイザブローです。よろしくお願いします。

青木文鷹(以下青木)「はい、よろしくお願いします。青木です。」

――セイタロウです。よろしくお願いします。

青木「よろしくお願いします。」

――さあ青木さん、まず、すごく基本的なことをお聞きしたいわけなんですが、菅総理になってから急に出てきましたTPPという言葉なんですが、そもそもTPPは、どういうものなんでしょうか?

青木「TPPというのは、日本語に訳すと『環太平洋戦略的経済連携協定』の略になります。ちょっと長いんですけれども。
 2006年にニュージーランド、シンガポール、ブルネイ、チリの4カ国でスタートした協定です。
 このタイトルの中に『戦略的経済連携』とあるように、元々ニュージーランドはそれほど人口が多くないですし、シンガポールも人数は少ないですね、お金は
ありますけれど。
ブルネイもお金持ちの国ですけれども、ここも人数はすごく少ないです。チリは逆に、人数はいるんですけれども、あまりお金持ちではないというか、後進国になりますので。これから発展する国ですので。
 こういう小さな国、世界的に見てプレゼンスが低い国が集まってできているものなんですよね。
 元々、国民の所得はあるが人口が少ない、市場が小さな国と、ある程度人口はあるが経済力が低い国がまとまって、ヨーロッパや日本、それからアメリカに対してプレゼンスをあげることが目的だったわけです。
 これについては序文とか、TPPの原文というのがありまして、メインアグリーメント、主文ですね、要するに会社で言えば定款みたいなものですけれども、ここのなかに実際『16章 戦略的連携』という形で、この目的が明示されています。
 あくまでこのTPPというのは、小さな国が集まって大国と渡り合おうというのが、本来の目的です。
 さらに、関税とか手続きをはじめとする貿易の阻害要因をグループ内で開放して、TPP自体があたかも一つの国であるような、経済の面に関してそういう形で動けるようにすることで、メリットを生かして存在感を高めて経済を活性化しようと、こういうのが目的なわけです。」


――青木さん、その、最初の段階ではそんなに問題ない、決して悪い話ではないんですが、ただ、そこに大国のアメリカだ、あるいは国土は小さいけれども日本、そう、オーストラリアも入ってくるんですよね。そうすると、一番最初の話と変わってきますよね。

青木「全然変わってきますね。」

――TPPの一番最初の初心は忘れ去られてしまいますね。で、問題が起こってくるんじゃないんですか、これから。

青木「そもそも、今行われている会議というのは『拡大会議』ということですね。
 で、拡大会議というのは、どうやって拡大していくかというのも条文のなかに入っているんですけれども、新規に作っているわけではないということが一つ。
 それで、あくまで原則として現在のTPP、これ、一番の目標は原則100%の市場開放をするということが目的なんですけど、これが大原則としてあると。ここについては変わらないということですね。
 で、大きな国が入るというのは、それぞれの国が、思惑があってグループに入ろうと。だから、実際に入れてもらえるかどうかというところからまず話が始まります。」


――なるほどなるほど。でも、影響力があるから、結局それを断ることはできませんよね?

青木「という可能性もあるんですが、今度は逆に自分たちが不利になるんだったら、入れないでグループとして本来の目的どおりにやったほうが得になる可能性も勿論、4カ国にとってはあります。」

――なかなか、菅総理からはこのTPPに対する説明が、今の青木さんがお話になっているような説明が全くないので。だから、メディアも本当にわかって伝え
ているのかね? なにか知らない重要な事実がそこにあるのではないかと思って、青木さんにお電話さしあげたのですが、いかがですか?

青木「まず、菅総理から情報が出てこないのは、先日ですね、国会で公明党の西(博義)議員が質問したときに、TPPの、協定のルールですよね、文書、メインアグリーメント、これ英語で160ページあるんですけれども、これがまず基本になるんですが『これ読んだことあります?』と訊いたら『めくったことはある』と言っているわけですね。」

――また得意の『疎い』というやつですかね。

青木「そうですね。そもそも、日本語の訳すら出てないんです、これ。
 ですから、今議論してらっしゃる方々も、多分ほとんどの人が、英語版をどこまで目を通したかというのはありますし、英語版にあたっていない人だと、日本
語でのデータは今、つい先日私ブログの方で公開したんですけれども、多分それ以外にデータ、日本語でまとまったものはないんですよね、主文に関して。
 ということなので、まずデータが出せないということがあります。」


――ということはメディアも伝えられませんね。

青木「ですので、やっぱりどこが影響するのかというのは、それぞれのポジションの方、例えば農水省だと農業がという話になりますし、経済産業省は経済の話からいきますよね。ですので、網羅した形で検討しているものがあまりないということになります。」

――青木さん、このTPPに参加することで、ズバリお訊きしたいんですけど、日本は得するんですか?

青木「基本的に、得をする人と損をする人といますね。全体として見ると、損をするとは思いますけれども。」

――どんな方が得して、どんな方が損されるんですか?

青木「まずですね、得をするという意味で言うと、貿易、域内のグループの中の人たちから日本に買って来る人ですね、これは当然メリットはありますね。関税が下がりますので。
 で、今度は逆に損をする人たちというのは、農産物の自由化が起こりますので、第一次産業……農業、畜産業、こういうものですね。これは大きなダメージを受けると思います。
 それから、第11章というところに『政府調達』という項目が書いてあるんですが、政府調達というとわかりにくいんですが、これは公共事業です、一番簡単
に言えば。
公共事業その他も入るんですけれども。これは今まで都道府県レベルまでは公開されてたんです。海外の業者が入れたんですね。なんですけど、これを市区町村レベルまでやります。
 ですので、これ国外の業者が安く受注しちゃうと、地場産業とか地元の企業さん、死活問題になりますね。」

――海外の資本が入ってきて、そういう方たちがダムを作ったり例えば道路を作ったりする可能性も出てくるということですか。

青木「そういうことですね。
 ですので、安く作れる可能性もありますが、その分地元にはお金落ちませんので、例えば小学校を作るなんていう時、地元の建築業者が今までやっていたものが、例えばニュージーランドの企業が取れちゃったら、ニュージーランドにお金が流れちゃうわけですよね。
 こういうようなところで、お金が地元に落ちなくなる可能性、そうすると、地方経済は非常に辛い状況になると思います。」


――地方は元々疲弊しきってどうしようもない状況でね、今回これが、疎いなかで妙に菅総理のモチベーションでスタートを切ったりするとですね、これ地方が壊れるっていうことは、青木さん、大げさに言うと、日本が壊れることになるんじゃないですか。

青木「なりますね。
 で、実はこれで得をする人たちというのがもう一人いて、企業ですね、大きな企業。この人たちが得をするので中々話がおかしくなってくると。
 ただ、日本企業というと日本で物を生産してるというイメージですけれど、例えば地域内どこで作っても、日本で作ってもチリで作っても同じ条件になると、
そういうことになりますよね。
そうすると、企業の経営者としては当然人件費の安い海外で作って日本に持ってきた方が利益が大きくなるわけですよ。
 次善の策として考えられるのは、海外から安い労働力、要するに人を連れてきて日本で作ると、こういう話になりますよね。これをやられちゃうと、日本で雇用がどんどん減るんです。」


――これ、ドイツとトルコの関係になるようでいけませんね。

青木「全くそういうことですね。
 実際に、先日大手家電メーカーの方が『このまま円高が進めば国内の雇用を5分の1ぐらいにせざるを得ないだろう』なんていう発言をしてるんですけれども、この上拍車がかかりますよね、TPPに入れば。
 今の経済のアナリストだとか、論調、賛成反対どちらも、企業の経営者がどういう判断をするというところまでは踏み込んでないものですから、その辺でメリットデメリットがちょっと狂ってきてしまうということもありますね。」


――そういう整理をしないまま、このTPPに参加でスタートを切ってしまって、後でまた傷口に絆創膏を貼るという、そういうことだけはやめてもらいたいですね。

青木「でもその可能性が高いですね。」

――じゃないと日本列島全体が絆創膏だらけになっちゃいますもんね。「??」も解決されてないんですから。(??は言葉が被ってしまって聞き取れませんでした。)

青木「日本の形をどうするかという議論ですので、これって。ですので、本来極めて高度な外交力がないとできない話なんですが、予算すらまとまっていない状況ですので、現状でやると非常に致命傷になるんじゃないかと。」

――はい、多分これでかなりTPPに皆さん関心をもったと思いますが、お時間が10分過ぎましたのでそろそろ青木さんとお別れいたしますが、改めて申し上げます。
 扶桑社新書から『TPPが日本を壊す』表紙はオレンジと黒い色でわかりやすいです。働いている一人のイケメンの青年の顔がヘルメットを被ってあります。
『え、僕にも関係あるんですか!?』
『あなたの“食”と“職”が危ない』
 他人事ではないです。青木さん、どうもありがとうございました。

青木「ありがとうございました。」



posted by FumiHawk at 23:16| Comment(0) | TrackBack(0) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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