2011年03月06日

TPPに関する最も基本的な問題はなにか 〜賛否以前の問題が放置されている〜

関係者各位のお力添えもあり、無事『TPPが日本を壊す』(扶桑社新書)が発売になりました。
先日はSPA!生やFM・NACK5等でもTPPについてご説明させて頂くなど、この問題への関心の高さが伺えます。

この本は学術書ではなく、「TPPとはなにか」「TPP加盟でなにが起こるのか」「TPP加盟に関するメリット・デメリットはなにか」「TPPで日本はどう変るのか」といった点に主眼を置いて、一般の方々にとって議論の要点が掴める様に書かれたものです。
そういった意味では、TPP反対派の方だけでなく、賛成派の方にも是非読んで頂ければと思っております。

さて、現在も賛否両論渦巻くTPP関連の情報ですが、そもそもなんでこんなに揉めているのかについては、原因がハッキリしています。


それは、基礎情報がまったく無いからです。


当たり前の話ですが、情報は1次ソースが最も重要で、2次ソース以降は「情報源の思惑を含んだ情報」になります。
TPPに関して1次ソースは「TPPの協定文」です。
経産省や農水省のレポートをはじめ、拡大会議に関する報道ですら、報じる人の色が付きます。
世の中に無色透明な情報がない事は当ブログで過去に述べましたが、その中でも最も無色透明に近い情報が「TPPの協定文」です。

ですが、「TPPの協定文」の日本語訳は(当ブログの私訳を除き)一切公開されていません。
原文自体は公開されていますが、英語で160頁もある文章を一般人に読めというのは正気の沙汰ではありません。
“普通の人”ならせいぜい「パラパラとめくっただけ」でげんなりしてしまうでしょう。

TPPと似た構造の協定にFTAやEPAがあり、日本もFTA/EPA交渉を他国と行っていますが、これらの交渉は年単位の時間を掛けて慎重に行われています。
それが、原文の日本語訳すら公開せずに通常では考えられないほど短時間で進められていることが常軌を逸しています。

情報もなく短い時間で決着を付けようとする、賛否を求められた人達は1次ソースがなく基礎情報を集積検討する時間が足りないから2次ソースの情報を元に議論を行う、結果として前提とする2次ソースの違いから議論が噛み合わなくなり、最終的には感情論に近い意見の応酬になる・・・

これは賛否以前の問題です。
基礎情報がないから、各文言の定義も曖昧になり、同じ単語を使って議論しているのに意味が全く違ってしまう状況すら発生しています。
お互いの共通認識にしておかねばならない事すら、共通になっていない。
こんな状況で、正しく賛否を決められる人がどれだけいるのでしょう?

政治家や経済学者、アナリストの方々、原文に当たった事がありますか?
TPP加盟国の拡大について、原文で言及されている事をご存じですか?
TPPの発足時の目的は米国の思惑とは関係なく「小国同士の戦略的提携により、マーケットでのプレゼンスを上げる事」で、それについて序文や第16章に明確に記載されているのをお読みになりましたか?

そしてマスメディアの方々・・・報道機関であるなら、お金も人も居るメディアがなぜ率先してTPPの翻訳を試みなかったのでしょうか?
文章自体は難解ですし、大変に手間のかかる作業ですが、新聞社やTV局の力があれば対して難しい問題ではなかったでしょう。

今からでも遅くはないと思います。
国民はみなTPPが何であるか理解した上で、より良い選択を行えるだけの見識を持っています。

多くの日本人に、賛否ではなく「TPPとはなんなのか」を伝えて頂ければと思います。



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2011年02月28日

環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)関連情報のまとめ

情報量が増えてきましたので、目次用にまとめをエントリーいたします。





【 環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)関連情報のまとめ 】


《基礎情報》



《TPP関連のエントリー》



《有志の方が纏めて下さった『@FumihawkのTPP関連ツイート』》

posted by FumiHawk at 10:15| Comment(1) | TrackBack(0) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)私訳 『第19章 一般的例外』

先日のエントリーに書いたとおり、TPPメインアグリーメントの私訳文を公開します。
今後の公開は必要に応じて行いますので順不同になると思います。
また、各章の分量も多いので、場合によっては章を分割して公開する場合も御座いますのでご了承下さい。

注)この訳文は当ブログ独自で行ったものです。
   著作権は放棄しませんが、非商用のみ自由引用とします。
   引用する場合、トラブル防止の為必ず出典を明記して下さい。






環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)『第19章 一般的例外



■第1条 一般的例外

1 第3章から第8章(産品の貿易、原産地規則、税関手続、衛生植物検疫措置、貿易の技術的障害、
  貿易救済措置)のため、1994年のGATT第20条とその解釈的注記は、“必要な変更を加えて、
  ”この協定に組み込まれ、その一部となる。

2 加盟国団は、1994年のGATT第20条(b)で言及される措置が、人類や動物又は植物の生命や
  健康を守るために必要な環境対策を含むこと、そして、1994年のGATT第20条(g)が、生物・
  非生物の枯渇天然資源の保存に関する措置に適用されることを理解する。

3 確実を期すと、加盟国団は、1994年のGATT第20条(f)で言及する措置が、歴史的・考古学的
  価値のある特定の場所を守るために、もしくは国家的価値のある創造的芸術を支えるために必要な
  措置を含むと理解する。
  (注※ 「創造的芸術」は芸能(演劇と踊り、音楽を含む)・視覚芸術・工芸・文学・映画・ビデオ・言語
   技術・創造的なインターネット上のコンテンツ・土着の伝統的慣行・現代的文化表現・デジタルの
   双方向メディア・個々の芸術形式区分を超えた新技術を使用するものを含む混成芸術作品、等を
   含む。この用語は、そして芸術の発表・制作・解釈が伴うそれらの活動と、これらの芸術形式及び
   活動の研究と技術開発を網羅する)

4 第12章(産品の貿易)のため、GATSの第14条(脚注含む)は、“必要な変更を加えて、”この協定に
  組み込まれ、その一部となる。加盟国団は、GATSの第14条(b)で言及される措置が、人類や動物
  又は植物の生命や健康を守るために必要な環境対策を含むと理解する。

5 第12章(産品の貿易)の目的において、同じ様な条件が普及する加盟国間での恣意的な又は不当な
  差別の手段を、またはサービスの貿易に関する偽装された制限を構成する恐れがある方法で、当該
  措置が適用されないという要件を前提として、この協定の如何なる規定も、国家的作品や歴史的・
  考古学的価値のある特定の場所を守るために、もしくは国家的価値のある創造的芸術を支えるため
  に必要な措置の、加盟国による採択や執行を妨げるとは解釈されない。



■第2条 安全保障上の例外

1 この協定の如何なる規定も、次のようには解釈されない。

 (a) 加盟国に、その公開が安全保障上の不可欠な利益に反すると、その加盟国が決定する情報への
     アクセスを供給又は許可するよう要求する。

 (b) 加盟国が、安全保障上の不可欠な利益の保護のために必要と見なす措置を講じることを妨げる。
     (注※ 確実を期すと、この協定の如何なる規定も、加盟国が、重要インフラを悪化もしくは機能
     停止させようとする意図的な試みから、当該インフラを守るために必要な措置を講じることを妨げ
     るとは解釈されない)
     その利益とは、

   (@) 軍用基地への食料その他の供給を目的として、間接的又は直接的に、営まれるサービスの
       供給に関わるもの。または、武器・弾薬及び軍用の器具の運輸に、そして他の産品と材料の
       運輸に関わるもの。

   (A) 戦争や他の国際関係の緊急事態時に関わるもの。あるいは、

   (B) 核分裂性・核融合性物質、もしくはそれらが取り出される物質に関係するもの。又は、

 (c) 国際平和と安全保障の維持のための国連憲章に基づく義務を遂行する、加盟国の行動を
    妨害する。

2 委員会は、1の(b)及び(c)に基づき取られる措置と、それらの終了についての情報を、最大限可能な
  限り与えられる。



■第3条 国際収支を保護するための措置


1 加盟国が、深刻な国際収支上そして対外金融上の困難又はその脅威にある場合、加盟国は、支払
  及び振替に対するものを含めて、産品及びサービスの貿易に関して、制限的措置を採択又は維持
  できる。

2 1に基づき採択又は維持される制限は、

 (a) WTO協定で定められた条件と、国際通貨基金の条項に従う。

 (b) 他加盟国の商業・経済・財政的利益への不必要な損害を避ける。

 (c) 1に述べる状況を処理するために必要な制限を越えない。

 (d) 一時的なものであり、1に述べる状況が改善するとともに、徐々に取り除く。そして、

 (e) 無差別を原則として適用される。

3 当該制限の範囲を決定するとき、加盟国団は、その経済発展にとってより必要不可欠な経済部門を
  優先できる。しかしながら、当該制限は、特定部門を守るためには採択又は維持されない。

4 1に基づき加盟国が採択又は維持する制限、あるいはその変更は、直ちに他の加盟国に通知される。

5 1に基づく制限を採択又は維持する加盟国は、採択又は維持する措置を審査するために、他加盟国団
  との協議を直ちに開始する。



■第4条 課税措置


1 この条項において、

  「課税条約」とは、二重課税を回避するための条約、又は他の国際課税協定や取決めを意味する。

  「課税措置」は、第2章第1条(一般的適用の定義)に定める「関税」は含まない。

2 この条項に規定されている場合を除き、この協定の如何なる規定も、課税措置には適用されない。

3 それが適切な場合、対応する(=課税措置に関する ※訳者注)権利又は義務が、1994年のGATT
  第3条と、サービスに関しては、GATS第1条及び第14条(d)に基づき与えられる、もしくは課される場
  合、この協定は、課税措置に関して義務を課すか権利を与えるのみである。

4 この協定の如何なる規定も、加盟国間で効力のある課税条約に基づく加盟国の権利と義務に影響を
  及ぼさない。この協定と当該課税条約の間に課税措置に関する不一致がある場合には、後者が不一
  致の及ぶ範囲に対して優先する。加盟国間の課税条約については、条約に基づく所轄官庁が、この
  協定とその条約の間に不一致が存在するかどうか決定する、唯一の責任を持つ。



■第5条 ワイタンギ条約


1 当該措置が、他加盟国の人に対する恣意的な又は不当な差別の手段として、あるいは産品及びサービ
  スの貿易に関する偽装された制限として利用されないことを条件に、この協定の如何なる規定も、ワイ
  ンギ条約に基づく義務の遂行を含む、この協定が取り扱う案件の点で、マオリに更なる優遇を与える
  ために必要とみなす措置のニュージーランドによる採択を阻害しない。

2 加盟国団は、ワイタンギ条約に基づき起こる義務と権利の性質についてを含む、ワイタンギ条約の解釈
  は、この協定の紛争解決規定に制約されないことに同意する。第15章(紛争解決)は、そのほかの点
  ではこの条項に適用される。第15章第6条(仲裁裁判所の設置)に基づき設置される仲裁裁判所に、
  ブルネイ・ダルサラームやチリ又はシンガポールは、(1に言及する)措置がこの協定に基づく権利に
  反するかどうかだけを決定するよう要求できる。


posted by FumiHawk at 09:34| Comment(0) | TrackBack(0) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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