「自民党にお灸を据えてやる」昨年の衆院選ではそんな気持ちで投票した無党派層の票が、民主党に政権交代をもたらしました。
民主党本来の支持基盤だけでは勝利は難しかったので、小沢氏は支持基盤をがっちり固めると同時に、この無党派層の取り込みに最大限気を配りました。
結果として民主党は得票率で1位をとり、大勝利を収めたのは皆様ご存じの通りです。
(議席数に比べて実際には自民との票差はそれほどありません。地滑り的な雪崩現象は圧倒的得票ではなく、小選挙区の勝者総取りという特性の影響です。)
もっとも、政権交代後の景気悪化と与党のグダグダを見れば
「自民にお灸を据えたつもりが、自分の背中に火が付いて大火傷だってでござるの巻」なのは明らかです。
それなのにもかかわらず、民主党に投票した人の多くが相変わらず「自民よりまし」等と言って、現状の危うさをまったく理解しようとしないようです。
情報リテラシーの高い人は民主の欺瞞に気がついて、おQ層の家族に「如何に民主は・・・」と説得する方も多いのですが、前述の如くで聞き入れられず、最終的には家族で大もめってケースも多数見受けられます。
特に団塊の世代の両親を説得しようとして失敗、大げんかという例が多く、団塊の世代=説得が最も困難という構図になっているようです。
さて、「自民党にお灸を据えてやる」と民主に投票した層、すなわちネットで言う「おQ層」ですが、次の2つの特徴を持つ場合が多いと言えます。・情報源の多くは、新聞・TV・雑誌といったマスメディア
・インターネットは余り使わない、もしくは使っていても『検索が上手に出来ない』つまりおQ層の人達は、
「情報的に受け身で世論操縦に最も迎合しやすい」言い換えれば
「情報操作を行いたいマスメディアにとっては最も美味しい」人達なのです。
この受け身の姿勢と、偏った情報による自民党批判は、民主党の実態を感じている人達に取ってみると、非常にカンに触る、頭に来る行動なのです。
で、これをなんとかしようと説得を試みる人は多いのですが、実際に成功した人は極めて少ない。
なぜでしょう?
これは説得する側が「説得とは何か」を理解していないからです。
説得とは何かを理解していれば、おのずと最善手を打つことが出来ますし、説得出来ずとも不要の軋轢は生まないはずです。
しかし、多くの場合説得する側の動機は義憤やら正義感やらですので、説得の本質が見えない状況では単に見解のぶつかり合いになってしまいます。
おQ層の家族を説得をしたい人達は方法を間違っています。
これらの人は洗脳状態に近く、
説得しようとした場合、洗脳状態の解除もしくはスピンをかけるのと同様の対応が必要なのです。
そのためのキーポイントが「説得とは何か」です。
「説得とは何か」と「説得のポイント」を理解することは、今後の日本と皆さんの生活にとって役に立つと考えます。
そんなわけで、今回は『おQ層を説得する「たった一つの冴えたやり方」』です。
頭に叩き込んで頂きたいのは、
『説得とは、相手の意見をねじ曲げること』だと言うことです。
相手が納得したかしないかはともかく、状況だけ抜き出せばこういう事です。
そして意見をねじ曲げると言うことは、その意見を持っていた相手の時間を否定することになる場合があると言うことです。
過去の否定、これは普通の人でも拒絶反応が出ますが、これをなんとか乗り切らねばなりません。
「洗脳解除」「過去否定の受容」等、数々の高いハードルを越えるためには、次のような手法が有効です。
マスコミ情報への依存が発生し、前述のように洗脳状態に近い状態の場合、本人にとっての一次情報であるマスコミ(場合によってはミノさんやらオグラさんやらフルタチさんやら)への信頼度が極めて高くなっています。
さらにマスコミ情報は信頼出来るという神話はおQ層では健在であるため、この情報源を疑うことは、相手に対する裏切りであると感じる程の依存が起こっています。
そんな状態で「民主が・・・」なんて言っても、
聞き手にとっての信頼度は「マスコミ>>>(越えられない壁)>>>>貴方の意見」なので、説得に耳を貸すことはほとんどありません。
これは政治だけじゃなく、病気の家族を持った家庭などでも比較的良く目にする構図です。
この構図を崩すことが、説得の『たった一つの冴えたやり方』なのです。
本当に説得したいなら、まず最初にすべきことは一次情報源の信頼性を低下させて、こちらの声を聞く余地を作ることです。これはカウンセリングでも同様です。
病気の本を大量に読んで「○○にはこう書いてあった」「××には・・・」って状態だと、こちらがどんなに一生懸命話してもまったく伝わらないのとまったく同じ。
説得したい相手には、本命の民主党に対する批判は後回しにして、マスコミが如何に恣意的か、情報が偏る素地を持っているかを徐々に理解させましょう。
このときに、焦って話を性急に運ぶと強烈な反発を生んで逆効果になります。
あとマスコミ否定もダメ。
聞く側に「マスコミの否定=信じた自分の否定」の構図を発生させてしまいます。
信じている物を悪く言われれば当然の反応です。
「別の番組では××って言ってたよね」とか「椿事件って・・・」とか、とにかく竹を熱してゆっくり曲げるように時間をかけて洗脳の呪縛に少しずつヒビを入れましょう。
さらに呪縛が崩れる寸前には、相手の傷を最小限に抑えるために最後は逃げ場を作ってあげなければなりません。
説得の際、相手の心には「説得される」=「自分の意見を翻す」=「過去の自分を否定する」=「自分が悪かったと認める」と言う葛藤が起こります。
なので多くの場合は自己防衛反応で説得されると態度がかたくなになります。逃げ場がなければ、当然抵抗が強烈になります。
ですので
説得する際には「心理的な逃げ道を作ってあげる」事が重要です。
説得の目的はあくまで相手の意見を変えることで、相手が間違ったことを信じていた過去を糾弾することではありませんので。
だからこそ、あえて追い詰めすぎずに逃げ場を作ってあげるのです。
これは、心理的抵抗の最も強い過去の否定を最小限で回避するためです。
具体的には、一言「貴方は騙されてただけ。悪いのは公正中立と言いながら偏向するマスコミ」と。「貴方は悪くない、全部○○が悪いんだ」みたいな。
「騙されてたんだから仕方ないよね」「大事なこと言わない方が悪いよね」「あんな風に報道したらみんな騙されるよね」等々、間違っていた自分は悪くない、そう仕向けたマスコミが悪い、という逃げ場です。
今回の場合は「知ってたら投票しないよね。そんな大事なこと言わないマスコミって最低」と言う風に、マスコミに全て責任を被せてしまえば、説得を受け入れるハードルは格段に下がります。
「お前だって殺りたくてやった訳じゃねえよなぁ。」とか「生きるためには仕方なかったんだよなぁ」とか言って取り調べで情報を聞き出すのと基本は一緒。
自己欺瞞とか、自己保身と言う無かれ。
これは説得される人の心を守るためにとても重要なことなのです、それにどうせ「だいたいあってる(爆)」。
ちなみに、相手が「マスコミに騙された!」って結論まで達すると、強烈な反マスコミ、反民主になるパターンが多いです。これは騙されていた自分を正当化するために、騙した相手が巨悪でなければならないという強迫観念が多分に影響するためです。
例えば、共産主義から反共に転向するパターンなんかと酷似します。
こうなれば、民主批判をする必要すら有りません。
説得する人は、ただ相手に足りない『情報収集と検索の仕方』を教えてあげるだけ。
あとは猛然と自分で情報収集を行うようになります。
これで、説得は完了。
直接的な説得より何倍も有効で、説得する側、される側双方にとって負担の少ない最善手です。
あとこの方法の副産物として、自分の精神安定のために周囲にも巨悪の存在に気がつくよう働きかける衝動に駆られます。
つまり、自分が目覚めた事の証明として、また自分が騙されていたことに対する怒りのやり場として、「正しい知識を伝導する自分」の役回りを進んで引き受けます。
ですので、この手の説得を受け入れた人は、非常に熱心な伝道師となります。
「宗旨替えしたものが、最も熱心な信者になる。これは熱意こそが自分の過去の過ちを救済するという衝動に駆られるからである。」
「寝返った兵が、最も苛烈に敵を攻める」つまりはそういうことです。
これらも考慮すると、個別の案件で説得するよりも時間はかかりますが、臨界点を超えると急速に広がる可能性が高いといえます。